悠言録

トップ悠言録一覧 > 悠言録

[2006年10月30日]

 「都落ち」という言葉がある。この言葉の持つ響きの何ともの悲しいことか▼奈良は今、美しい盛りの秋。正倉院展で大変なにぎわいだ。特に昨年から、大量の正倉院情報が列島にあふれ、奈良へ、奈良へ。本当の奈良の魅力は、騒々しさではなく、静けさの中にあるのだが、ともかくは、今日を存分に楽しんでほしい▼正倉院と言えばシルクロードの終着点。ロマンかきたてるシルクロードの研究と理解の深まりに、大きく寄与してきた「なら・シルクロード博記念国際交流財団」が12月、奈良近鉄駅ビル6階を明け渡し、事務局と研究センターが夫婦別れ、別々の場所に移転する▼なぜか。いろいろ理由付けを聞いたが、煎じ詰めれば、奈良県にとって財政面での大きな負担。よって、経費削減なり▼「あの財団は、前の県政の遺産ですからね。いずれ、消え去る宿命ですよ」とささやく人もいる。今の県政が、そんなケチな了見を持っているのか、どうか▼シルク財団が、奈良のまさに表玄関に「あること」が奈良の品格と誇りを象徴してきた。センター所長の樋口隆康さんが「そこに居て」、誰もが気軽に話せることが、奈良の知性と歴史文化を大切にするスピリットに繋がっていた▼「都落ち」という言葉が浮かんでくる。いにしえ人、都から追われて、寂しく辺地で、朽ちるように果てた。(水)

  • 凛と咲く〜輝く女性たち
  • バックナンバー購入のご案内
  • 会社情報
  • お問い合わせ

ホームニュース論点悠言録

バックナンバー購入会社情報お問い合わせ

当サイトに掲載の記事・写真・図版などの無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権並びに国際条約により保護されています。

Copyright Nara Nichinichi Newspaper