悠言録

トップ悠言録一覧 > 悠言録

[2006年11月01日]

 霜月スタート。何事も出発は心引き締まるものだが、本紙も新たな歩みを刻み始めた。特に復刊という再始動だけに、期するところも大きい▼折しも、奈良国立博物館では正倉院展が開かれている。秋の古都を彩る行事だが、根強いファンらで人の波。大和がシルクロードの終着点から、新たな文化の出発点になったことを思えば、示唆は深い▼正倉院といえば森鴎外が思い浮かぶ。帝室博物館(国立博物館)総長兼図書頭として鴎外は、大正時代、開封の立ち会いなどで何度も来寧。その折々の心境を短歌に託し、「奈良五十首」としてまとめた。「奈良人は秋の寂しさ見せじとや社も寺も丹塗にはせし」▼鴎外が博物館総長として奈良へ来たのは大正7年から11年にかけて。遠い昔である。だが、本紙創刊の明治31年は、そのまだ20年ほど前。19世紀最末期の1898年から足掛け3世紀にわたって輝き続ける伝統の灯と言える▼もちろん、歴史の古さだけが新聞の価値ではない。1250年を超える年月にも風化しない正倉院宝物を見るにつけ、本紙の使命もかくや、と覚悟を新たに。「奈良五十首」に、こんな一首も▼「夢の国燃ゆべきものの燃えぬ国木の校倉のとはに立つ国」。本紙も、校倉造の正倉院のような新聞として、宝物ともなる朽ちない報道・論説を目指したい。博物館敷地内にある「鴎外の門」を眺めて誓った。(宏)

  • 凛と咲く〜輝く女性たち
  • バックナンバー購入のご案内
  • 会社情報
  • お問い合わせ

ホームニュース論点悠言録

バックナンバー購入会社情報お問い合わせ

当サイトに掲載の記事・写真・図版などの無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権並びに国際条約により保護されています。

Copyright Nara Nichinichi Newspaper