悠言録

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[2006年11月02日]

 秋の訪れは柿の訪れ、ともいうが、あの「御所柿」はどこへ行ってしまったのか、と思われてならない。店頭に並ぶ富有柿や種なし柿などを見るにつけ、魅力的な甘さを持ち、艶やかに輝いている宝珠型の御所柿に心ひかれるのである▼江戸時代から知られ、明治期に入ってゆるがぬ名を示めしたが、突然変異の結実で栽培が難しく、生産性が低いために需要に応えられず、今ではほとんど作り手がいなくなった。しかし、奈良には忘れられない伝承の味の王者である▼その名もゆかりの御所市では現在、NPOの「御所柿保存会」の人たちが育成に努めている。県内の御所柿の消息を調べている県立農業大・岩本和彦さんの話では、幹回り80セン チを超える木は20本ほどしかなく、それも屋敷内での余生の姿だということだ▼「柿くへば―」の名句を残した俳人・子規の句碑もさき頃、奈良市内に建立された。場所の是非はどうでもよい。子規が口にした柿は、御所柿だっただろう。いや、それがよく似合う▼10月下旬、特許庁は「地域ブランド」全国52品目を発表した。奈良県からは高山茶筅(せん)だけである。この制度は、地域復興のために地域名と商品名を組み合わせた団体商標。隣りの県からは、南高梅や有田みかんなど7つも認定されている▼今からでもおそくない。味覚の県民遺産として取り組んでは―。(木)

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