悠言録

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[2006年11月05日]

 「権力は、それを持たない者を消耗させる」。イタリアの元首相の名言だそうだ。含みの多い言葉だ▼誰もが自分のやりたいことをかなえたいと希望する。が、誰もがそれが可能な環境を手にしているわけではない。そこで、権力者に近づいて、彼が持っている権力の環境の中に身を入れ、目的を具体化しようとする▼この過程で、権力を持たない者は、お金と心を注ぎ、その他、あらゆる知恵を総動員するが、気が付かないうちに自ら消耗してしまう。例えば、ごまをする、自分を大きく見せて売り込む、凄む。そのキキメあって、何かを得たとしても、心の中は疲弊し、カサカサになる。元首相は、そんな姿をじっと見ていた▼お役人は、権力環境のただ中にある。すり寄ってくる人、利用しようとする人をいかに正しく、冷静に見抜けるかが、勝敗を分ける。和歌山や福島など県庁と周辺が激しく揺れている。権力に酔い、人物を見誤ると、その先はただ暗く、哀しい。もちろん奈良県には、あってほしくない▼奈良県庁で、私の知る限り、自分を大きく見せたことのない部長がいる。先日のことだが、「私はだめですが、若い職員に助けられて何とか仕事ができています」とぼそぼそ言った。「俺がやった」類の手柄話が目立ってきた環境の中、この苦労人の口から、久しぶりに、気持ちのいいセリフを聞いた。(水)

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