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注目される臨時議会 − 生駒市山下市長新病院建設問題

2006年11月30日

主筆 藤山 純一

 生駒市の山下真市長が誕生して10ヵ月がたつ。しかしこの間、市政運営していく上で、車の両輪であるはずの市議会と正常といえない関係が続いている。市長はこれまで「理解を求めていく」との発言を繰り返しながら、理解を求めるための努力を何もしてこなかったといっても過言ではないだろう。<br>   市議の多くは「口先だけで議員一人ひとりと話し合うという姿勢がみられない」と山下市長を批判する。なぜ議会とスムーズな対応ができないのか。その一つが非現実的とみられる選挙公約の数々である。<br>   新病院建設問題もその一つだ。山下市長は建設予定地としている生駒総合病院跡地を購入するため、あす12月1日から開かれる臨時市議会に、土地収用法に基づく仲裁裁定制度の手続き申請のための承認を求めるが、この病院建設に疑問の声が沸き上がっている。<br>   その声の主なものは次の通りで、市民を代弁して山下市長に聞きたい。<br>      ◆      ◆     ◆<br> 一、建設用地購入の調停を県に依頼する前に、まず新病院の経営計画を詳細に示していただきたい。<br> 一、特に収支のバランス見通しをお聞きしたい。なかでも収入の部分となる入院、通院患者数をどう見込んでいるのか、お聞かせいただきたい。<br> 一、さらに医師、看護師の確保、特に全国的に需要が急増している看護師の獲得の見通しをお聞きしたい。<br> 一、そして、もし患者不足で採算が合わなくなった場合、この負担をだれがどのようにしてカバーするのか、明確にお答えいただきたい。<br> 一、病院経営の採算性を明確に示さないならば、土地収用法に基づく仲裁裁定の承認を、臨時議会を開いてまで行う必要はないと思うが、山下市長の意見をお聞きしたい。<br> 一、臨時議会を開けば費用、すなわち税金がかかる。仲裁裁定で跡地を購入できる見通しが立たない中で、このような山下市長の行動は、臨時議会で議員のみならず、国保連への申し入れで生駒市を除く県下38市町村を振り回しているといえるが、これについてどうお考えか、お聞きしたい。<br> 一、生駒総合病院跡地の所有者は、県下39市町村で構成する県国民健康保険団体連合会で、この跡地は公有地あり、その売却については、競争入札されるのが基本と思われるが、山下市長のご意見をお聞きしたい。<br> 一、売主である県国保連の理事会で「売るなら現状のままで鑑定評価額の4億6170万円」と機関決定されているものを、半額近くまで「値切るという姿勢」について理解が得られると思っておられるのか、山下市長にお聞きしたい。<br> 一、生駒総合病院の解体撤去費用を2億370万円と設定しているが、何社から見積もりを取ったのか。見積もりを取る際、建物の現状調査を何社にさせたのか、山下市長にお聞きしたい。<br> 一、経営のシュミレーションが明確でない今、なぜ土地の購入を急ぎ、かつ売主で機関決定された金額を無視し、都合の良い時だけ県を利用するのか。山下市長の新病院建設計画は「建設ありき」で、全く見通しのない「ハコ物行政」と批判されても仕方がないと思うが、 どのようにお考えか。 <br>    ◆      ◆      ◆<br>   費用さえかければ病院建設は可能だ。土地の購入、建物の建設はできる。もちろんその費用は市民の税金である。しかし診療科目も定まらない、医師、看護師の確保の見通しもないという経営の根幹に関わることが全く不透明で、どうして病院を経営していけるのだろうか。<br>   特に看護師の確保は、山下市長の出身大学でもある東大、京大の付属病院でも、これまでの採用人数の2、3倍の人を求めて、北海道から沖縄まで全国を飛び回っているのをご存じだろうか。<br>   中央社会保険医療協議会は、今年4月から手厚い看護を実施するため、診療報酬の改定を行い、患者15人に看護師1人と患者10人に看護師1人の場合について、それぞれ点数を微増したほか、患者7人に看護師1人の配置については、新たに高い診療報酬の点数を設定。このため、全国の大学病院を始め多くの医療機関がこれまで以上に看護師確保に乗り出している。<br>   このような現状の中で、果たして山下市長は、正常な病院経営ができると考えているのだろうか。市民に対して行政の長として、説明責任を果たすべきである。その説明責任が果たされるまで、議会の責任、議員一人ひとりの責任で「土地の購入ありき」の山下市長の姿勢を厳しく問うべきであろう。<br>   今後の議論が注目される。

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