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独善的な行政運営 − 再び山下市政を問う

2006年12月21日

論説委員 田村 耕一

 土地収用法の仲裁申請をめぐり継続審議となっている新病院建設の問題で、生駒市議会の特別委員会が本日開催される。<br> 12月18日、山下市長は酒井隆議長に特別委員会の開催を要請した。酒井議長は、会期中のことであり、他の委員会などとの調整がつけば拒む理由はないとして要請を受け入れた。<br> 新病院の建設には、山下市長自身が市民に説明しなければならないことが多いからである。<br> ここから、山下市長の不可解な動きが始まる。山下市長は特別委員会までに、各会派に個別に議案説明をしたいと言い出した。これに対し、最大会派清和会の中谷尚敬議員は「説明は委員会でするのが慣例だ。山下市長もこれまでそのように対応してきたではないか。山下市長は案件により、自分の都合のよい時だけ各会派に個別説明をしようとする。各会派ごとへの不透明な説明は議会が混乱する」として山下市長の申出を断った。しかし、共産党議員などは山下市長の個別説明(市長室で)を受けているという。<br> 今、山下市長が説明しなければならないのは、先の特別委員会で指摘された次の3点だ。<br> ・病院の経営形態、経営主体、市と経営主体との経営内容など、具体像が明確になっていない。<br> ・仲裁申請には土地所有者である奈良県国民保険連合会(国保連)の同意が必要であるのに、まだ国保連の態度が明らかになっていない。<br> ・この仲裁制度を利用した場合、病院の運営方法が指定管理者制度等の公設民営に限られてしまうのではないか。<br> この3点に対する明解な説明がない限り、特別委員会は意味のないものとなってしまう。<br> 山下市長は、特別委員会で土地収用法の解釈についての法的な説明をする旨、酒井議長に伝えたようだが、土地収用法の解釈など本件問題の部分的な説明だ。議会は法解釈など求めていない。山下市長が説明すべきは、経営計画の詳細と健全経営に向けた見通しだ。山下市長は、すり替えの議論を企図しているのではないか、と疑いたくなる。<br> もっとうがった見方をすれば、この特別委員会の開催は、「議会の抵抗のため自分の思うように市政が進められなかった」と、言い逃れるための布石とも受け止められる。<br> 議会は議論を尽す場である。遠慮はいらない。山下市長は、議会が説明を求めていることに自身の主張を堂々と展開すればいい。後は、特別委員会のメンバーがどう判断するかだ。慣例を破り、自己の都合による各派ごとの個別説明など必要ない。<br> 山下市長は開かれた行政を標榜しているが、その手法は極めて独善的で閉鎖的だ。<br> 一方で、生駒市は新病院の建設について、12月15日を締切とするアンケート調査を生駒市内の医療機関と住民に行っている。このアンケートは、市の諮問機関である新病院整備専門委員会で、「今更必要ない」「このアンケートなら結果が分かっている」と指摘されたものだ。山下市長は、アンケート結果が全て世論と民意を表しているとまでは言わないだろうが、少なくとも特別委員会の開催前にはこの集計と分析結果を発表しなければならないだろう。<br> 生駒総合病院の跡地取得をめぐって、最も重要視しなければならないのは国保連の意思だ。奈良日日新聞社が、国保連の主な役員にこのことを問い合わせたところ、ほとんどが「売買価格は現状有姿で約4億5千万円、期限は2月初旬」という当初条件を変える必要はないとしている。<br> これは、国保連が仲裁申請には応じないとする意思表示と受け止めなければならない。土地収用法の仲裁申請には、売買両当事者の同意が要る。この見極めがない段階で、山下市長は特別委員会に何を求めようとしているのか。

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