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[2006年12月26日]

 厚生労働省が先ごろ公表した人口動態統計によると、今年に生まれた子供の出生数は10月時点で、昨年同月に比べ2万人以上、上回っており、6年ぶりに出生数が増加に転じる見通しという▼若者の雇用環境が改善し結婚や出産を決断できるカップルが増えたことが主な要因。ただ、新たな将来人口推計では出生数は減り続ける見通しだ。こうした少子高齢化が深刻な問題となる中、県内では南部地域に産科がなくなるという事態に陥っている▼今年8月に大淀町の町立大淀病院で、重体になった妊婦が19の病院に搬送の受け入れを断られた末、大阪府内の病院で死亡した問題で、同病院が来年3月で分娩の取り扱いを休止するという▼同病院の産婦人科にはこの妊婦を担当した常勤の男性医師しかおらず、長年にわたる激務や妊婦死亡をめぐる対応で心労が重なったほか、別の産科医確保の見通しが立たないことなどが理由とされている▼県中南部では今年4月以降、県立五條病院や御所市の済生会御所病院が医師不足を理由に相次いで産科を休診。今回の大淀病院の休診で、南部地域の病院には一つも産科がなくなる状況となってしまう▼高度医療が必要と診断された妊婦の県外搬送率が16年で37.2%に達するなど、周産期医療に対する整備の遅れも指摘されている奈良県。将来を担う貴重な宝。その出産の安全を守るための対応が急がれる。(克)

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