悠言録

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[2007年01月13日]

 「古池やかわず飛び込む水の音」とは、芭蕉の有名な句だ。鏡のような水面に、カエルが飛び込む音に焦点をあて、逆に周囲の静寂を浮き上がらせているのだと、昔習った。平家物語では、鐘(かね)の音で諸行無常をあらわした。古来、日本人は音にも繊細だった▼風鈴の音もかすかに「チリン」と鳴るのが涼感を出してよい。風鈴が鳴り続けるのは、うるさいだけで興ざめだ。音は適音、適量が良いという見本だ▼欧米人が、日本に来て驚くのはまちなかの音(音楽や放送)だそうだ。聞きたくない音が耳に入るという。電車の中でも、いまだに無神経に携帯電話で話す人。携帯音楽プレーヤーで傍若無人に音楽を聴き、周辺にノイズをまき散らす人も含めているのだろう▼平群町は平成18年6月、「安全で安心なまちづくりに関する条例」を制定した。町民に対する迷惑防止と平穏な生活を確保しようという趣旨だ▼だが、この条例制定の原因となったいわゆる「騒音おばさん」は、大阪高裁が下した懲役1年8カ月の判決を不服として上告した。しかし、あの状況を見る限り、騒音というより、音を凶器とした一種の暴力だ。しかも、陰湿かつ執拗だった▼被害に遭われた方の心痛はいかばかりだろう。静かな環境で生活したいとする素朴な欲求を妨害する者に対して、法はどのような裁きをするのか、成り行きが注目される。(耕)

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