悠言録

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[2007年01月17日]

 奈良公園にある県新公会堂で地震と文化財に関する全国規模のシンポジウムを開きたいと思って下見に出かけた。館長自らが案内してくれた▼能楽ホール、会議室、応接室、日本庭園、レストランなどを回ったが、大阪から来た運営担当者は設備と環境に百点満点をつけ、ここでの開催を決めた▼特に館長の誘致への熱意に心を打たれた様子だった。微に入り細をうがち、時間をかけての説明。係員にまかせず陣頭に立っての″営業努力″。「公的施設はどこも赤字なのです。私たちは必死に頑張らなくては・・・」▼館長が県庁の課長時代、その課には、″華″と″お茶″があった。訪ねる人に対して、課員には「よくいらっしゃいました。県をよろしくお願いいたします」と、言葉に出さずとも、ひと目で分かる″華″の顔があった。そして、さっと一杯のお茶が差し出された。暑い日には一杯の冷たい水が▼課長が異動したあと、この華とお茶が消えた。「財政事情が悪化していますからねぇ。お茶も節約しているのでしょう・・・」。外部の者はささやき合った。〈何か、まちがっている〉。私は首をかしげた▼「もてなし」は接客関係度、サービスする側と受ける側との人間的接触度の大きさにかかわる観念で、人的要素に依存するところが大きい。県はもてなし運動を進めているが、足下の「一杯のお茶」の意味を考えてみたらと思う。(水)

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