悠言録

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[2007年01月24日]

 年は改まったが、人間の業なのか、悪行は改まらないようだ。不二家問題しかり、悪質な交通事故しかり。特に血なまぐさい殺人事件が相次いだ▼複雑な人間ドラマを背景に、遺体をバラバラに切断して遺棄するという酸鼻な事件も続発。「桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている」と書いた梶井基次郎も真っ青だろう▼人心の荒廃というには、悲しすぎる。そんな〈こころ〉のありかを問い続ける宗教学者に山折哲雄氏がいる。白鳳女子短期大学の初代学長も努めた山折氏の思考キーワードの中には「短調のメロディー」や「夕日」がある▼日本人は昔から短調の旋律を好み、それが情操教育、心の潤いにも通じていた。「五木の子守唄」などの子守歌をはじめ、童謡や唱歌の多くが短調だ。夕日の出てくる歌も少なくない▼清少納言は『枕草子』で「秋は夕暮れ」と嘆息し、西行らの「三夕の和歌」から、夕日は秋の専売特許めいているが、いわば〈心の秋〉にしみるのが夕焼けだろうか。西方浄土思想のDNAは、夕日を眺めて自分と他人を思いやる心を生み出す▼現代人、特に小中学生は塾通いなどで、夕日を見る機会が少ない。頭だけで考える習慣がつけば、他者と共生する人情の部分が欠落しがちだ。何事も自分の都合だけでは進まない。奈良県では二上山に沈む夕日が圧巻だが、生駒山はどうか。山下生駒市長に聞いてみたい。(宏)

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