悠言録

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[2007年01月27日]

「信用なき人は首なき人と同様なりと知るべし」。明治、大正の実業界の雄で、一代で大倉財閥を築いた大倉喜八郎が残した訓言だ▼大倉氏はことのほか信用を重んじた。そんな実業の要諦(ようてい)を知らないわけではないだろうが、創業100周年を迎える老舗の大手菓子メーカー不二家が、期限切れの牛乳や卵を使ってシュークリームを製造・出荷。食品の安全性が信用の命とするはずの食品メーカーが、その信用を自らぶち壊してしまった▼しかも、この不二家の問題が発覚して以降、食品会社が次々と、期限切れの商品販売や異物混入を自主的に公表している。各社は不二家問題と公表の関連を否定するが「みんな一緒なら怖くない、今なら目立たない」というようにもみえる▼不二家の問題の場合、最も打撃を受けているのは全国に707店舗あるフランチャイズの店だろう。奈良市内にある不二家のFC加盟店では、問題発覚後から営業を休止。だが、この店のオーナーは閉ざされたシャッターの店内に毎日、朝と夜きて、点検と掃除を欠かさない▼「いつでも再開できるように」との思いからだ。この店は地元密着の店舗として20年間営業の「地域の老舗」。休止後も注文やエールが多く寄せられるという▼メーカーが、無くした信用を取り戻すのは大変だ。その上、こうした地域・現場で支える人々を見殺しにすれば本当に″首″がなくなる。(克)

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