悠言録

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[2007年02月06日]

 全国各地に「炎」の行事は多いが、奈良には1月に若草山の山焼きがあり、2月に入ると東大寺二月堂修二会「お水取り」の行が始まる▼12日の新入習礼、18日の油量り、19日の堂童子試別火入りと続き、20日から28日までの前行へ、そして本行は3月1日から14日まで▼何年か前、二月堂の内陣で深夜の行法を参観した。お松明の火を見たあと、翌日未明に至る約6時間、1300年もの間守り伝えられてきた秘法を眼前に、ただ身体中がふるえた▼荘厳な声明、吹き鳴らされる法螺貝、打ち振られる鈴、激しい木沓の音、僧が走り、身を板に打ち付け、「だったん」の行法でクライマックス・・・。ひたすらに、人々のしあわせと世界の平和を祈る僧たちの″美しさ″に思わず手を合わせた。同時に、その尊い祈りに応え切れない、この俗世を悲しく思った。今年、知人を案内して再度参観するつもりだ▼奈良県庁観光課に女性の参与がいる。民間から来た人。膝に抱えたコートと鞄を見て「どうぞ、こちらへ」と受け取って自分の机へ。修二会の説明は丁寧に笑顔で。そして、「お友達はぜひ、奈良でお宿をお願いいたします。お水取りを楽しんで下さい」。〈この方、奈良が好きでたまらないんだ・・・〉。うれしく思った。″華″と″お茶″の消えた県庁で、小さなさらりとした″もてなしの心″がまだそこにあった。(水)

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