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[2007年02月16日]

 昨年1年間に全国の警察が検挙補導したいじめに絡む事件は、前年比41・2%増の233件で、4年連続で増加し、過去20年間で最多となったことが先日の警察庁のまとめで分かった。検挙・補導人員も41・1%増の460人に上り、うち中学生が76・5%と急増したという▼ドイツの国民的作家といわれるケストナーの作品に、「飛ぶ教室」がある。寄宿生活を送る子どもたちが、それぞれに成長していく様を描いた児童文学の名作◆その物語の中で、休み時間、一人の生徒がクラス仲間からくずかごに押し込められ、天井のフックにつるされるという場面がある。授業が始まり、異変に気づいた教師は、天井を見上げながらクラス全員に尋ねる◆「だれがやったんだ?」「どうして止めなかった?」。かごの中から、当の生徒が「多すぎたんです、相手が」と代わって答える。それを聞いた教師が「どんな迷惑行為もそれをやった者にだけ責任があるのではなく、それを止めなかった者にも責任がある」と諭す◆そういえば政府の教育再生会議の提言にも「いじめを見て見ぬふりする者も加害者であることを徹底して指導」とある。「知っていて知らないふりをするのは大きな責任」で、むしろ同罪以上かもしれない▼見て見ぬふりをする人々が氾濫する現代社会。いじめ問題をはじめ、ゆがんだ世相の元凶は、そうした大人の姿勢にあるのではないか。(克)

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