悠言録

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[2007年02月22日]

 「格差社会」が今、わが国の重要な問題として浮上している。恵まれた人たち、強い人たちの背後で、もがき苦しみ、働いても働いてもしあわせに届かない弱い人たちに、この社会全体がいかに向き合うのかが問われている▼「自分の努力ではい上がれ」「甘えなさんな」という声があるが、政治や社会政策の″冷たさ″に打ちのめされ、行き場のない状況に追われた現実をしっかり見つめ、私たちは、温かい心を今一度、取り戻したいと願う▼人間は自分本位な存在かも知れない。しかし、社会あっての存在であることも確かだ。さまざまなつながりの中で生き、支え合いの中で暮らしていることをもう一度、思い出したいと思う▼「なら・シルクロード友の会」が奈良商工会議所会館で開いた講演会。金関恕・天理大名誉教授の話は、満員の聴衆の心を揺さぶった。パレスチナやエジプト、メソポタミア、中国など紀元前の文明と弥生時代を関連付けしながら、東西の″心の交流″について具体的に示した▼有名なハンムラビ法典(前1760年ごろ制定)に孤児や寡婦を守る法文がすでにあることなど、社会的弱者への思いやり、相互理解、相互扶助の精神が社会を支える本来的な倫理であったことを淡々と説いた。それが基礎に流れて今日の繁栄した世界を築いた▼先人の精神を率直に謙虚に思い起こそう。涙ぐむ聴衆の姿が印象に残った。(水)

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