悠言録

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[2007年03月20日]

 肌寒い日が多いが、大和路は春本番の気配が濃厚となってきた。冷えた空気にも陽光は和み、草花の輝きも心なしか増したようだ▼「梅花歴乱として、麦緑已(すでに)茎(けい)をなしぬ。菜花盛となり、椿はぽたりぽたり落ち落ちて地も紅なり」―徳富蘆花は『自然と人生』の中の一章で、彼岸の入りをこう描写した。水ぬるむ喜びにあふれて▼お水取りが終わると関西に春が来るとささやきつつ、暑さ寒さも彼岸までと言い換えるのも毎年のことだ。彼岸に入ったが、秋と違って曼珠沙華(まんじゅしゃげ)はない。その代わり梅や椿に負けじと、ひそやかに水仙が咲く▼曼珠沙華は赤色を表す梵語(ぼんご)だというが、水仙は白緑色を基調にした清楚(そ)で匂やか花である。俳句では冬の季語でも、春の彼岸に似合う花だ。ヒガンバナ科に属するのも納得できる▼ところが花言葉は「うぬぼれ」。ギリシャ神話の美少年ナルシサスの伝説が由来とか。水に映った自分の姿に恋焦がれ、やせ衰えて死んだ骸(むくろ)が1本の水仙になったという、ナルシストの話▼また、ナルシサスは、ナルケーという言葉が語源とされ、「まひさせる・昏睡(こんすい)・無感覚・無気力」を意味する。芳香に酔う感覚からの発想ともいえるが、それは水仙の球根に毒性の成分があるためで、そこは曼珠沙華と似ている。そういえば、どこかの市長にも?(宏)

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