悠言録[2007年03月25日] 「上流社会」というハリウッド映画があった。「王様と私」「白鯨」「ピクニック」などが封切られた1956年の名作だ。″ハイ・ソサイアティー″の言葉が流行した▼なら一○○年会館で開かれた奈良テレビ放送主催の「エントランスコンサート・スペシャルライブ」。その4時間にわたる時間は、″庶民社会″の日常を暮らす私に、ひとときの極上の贅沢(ぜいたく)を贈ってくれた。胸のどこかに、ふと、″上流社会″という言葉が浮かんだ▼同放送新社屋ができて3周年。それを記念するイベントの幕開けとなるコンサート。社屋エントランスで行われているライブのうち、7つのステージを一挙に集めた特別企画だった▼情熱的に響きわたるバイオリン、うきうきするピアノとドラムのたたき合い、郷愁を誘う温かなアコーディオン。心にしみ込む二胡の調べから、元気あふれる若者たちの歌へ。そしてクラリネットとテナーサックスが競演するスイングジャズ、最後は、世界的なピアニストの華麗なメドレー曲が会場を興奮で満たした▼同放送の社長は、県の広報課長、秘書課長、知事公室長を務めた元お役人だ。年間100冊の本を読み、映画を語るとプロ顔負け。日本舞踊を舞い、三味線を弾き、剣道をたしなみ、神官の修行もつんだ。その異才と情が満開となり、今、県民に幅広い″しあわせの文化″を贈り続けている。愛すべき人だと思う。(水) |
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