悠言録

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[2007年05月17日]

 陰惨、酸鼻、殺伐たる事件が連日、全国いたるところで発生している。殺人など理由はさまざまだが、結果は例外なく悲惨だ▼だれもが「自分とは無関係」と思っているようだが、暗闇は常に人生の身近に寄り添っている。賛否両論の「赤ちゃんポスト」も必要悪の一つであろう。是非はともかく、日常的なのか、非日常的なのか。それは自殺も同じだ▼特に文学者の場合は不可解な部分が多い。有島武郎、牧野信一、生田春月、芥川龍之介、太宰治、田中英光、川上眉山、原民喜、村上一郎、加藤道夫、久保栄、川端康成、三島由紀夫、金鶴泳、鈴木いづみ、江藤淳、田宮寅彦、鷺沢萌、森村桂等々▼「芥川龍之介の自殺は、彼の文学完成への最後の手段であり、傑作。三島由紀夫の場合は、自らの文学との縁を断つ方向でなされた」とは円地文子の解釈。また、明治27(1894)年5月16日、北村透谷が縊死(いし)した▼26歳の詩人・評論家の死は近代の一つの幕開けとも言える。透谷は「厭世詩歌と女性」の中で初めて<恋愛>という言葉を使った。「恋愛は人生の秘鑰(やく)なり」。恋は人生の秘密の鍵とはいえ、死んで花実は咲かない▼人の命を奪う罪と、自分の命を絶つことの罪は同じだろう。「自殺する人は、みんな生きたい願望を持っている」。以前お聞きした、奈良いのちの電話協会理事長だった今里英三氏の言葉を思い出す。(宏)

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