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[2007年05月18日]

 奈良出身の河瀬直美監督の劇場映画第4作「殯(もがり)の森」が、今年度第60回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で正式にノミネートされた▼1000作品の中から選ばれた22本に、日本から唯一、光彩を放っている。河瀬ワールドが世界の舞台で飛翔(ひしょう)することは誇れることだ▼河瀬さんが国際舞台に躍り出たのは、劇場デビュー作『萌の朱雀』(1996年制作)で、第50回カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を史上最年少で受賞した1997年。五條と新宮を結ぶ五新鉄道建設計画が幻に終わり、過疎化が進む西吉野村(現五條市)の山村に暮らす家族の崩壊を淡々と促えた作品で、世界から絶賛された▼2000年の『火垂』は、東大寺二月堂のお水取りをストーリーにからめたストリッパーと陶芸家の純愛物語である。2003年カンヌ国際映画祭コンペティション部門で正式ノミネートされた『沙羅双樹』は奈良町のとある墨屋さんが舞台だった▼今回の『殯の森』は奈良市東部の山間地域、田原地区を主な撮影場所とした。河瀬さんは、いずれの作品も自らの生まれ育った奈良に執着して撮り続けてきた▼起用する俳優にしても奈良にこだわっているようだ。『萌の朱雀』の尾野真千子が西吉野村、『沙羅双樹』の兵頭祐香は生駒市、『殯の森』のうだしげきは奈良市在住だ。徹底したリアリティーを求める姿勢の現れか。(し)

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