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増え続ける選択肢 目利きの責任に重み

2012年10月26日

論説委員 染谷和則

 紺、青、水色、薄紫、緑、桃、オレンジ、色とりどりの何十色から選ぶ。入学準備をする12〜1月に商機を迎えるランドセルのことだ。濃いピンク、やや濃いピンクと、微妙な違いだけのものもある。この種類の多さに、大人は「6年も使うので飽きがこないものを」とか「無難な色を」と迷ってしまいがちだが、子どもたちは「好き」を直感的に選び、大人よりも商談は早いそうだ。なるほど。
 男の子は黒色、女の子は赤色というのは昔の話。だがそういう既定路線があったからこそ、祖父母や父母が購入し、孫や子にプレゼントすることができた。今は子どもと一緒に売り場に足を運び、選ばせてやらなければせっかくの贈り物に文句を言われかねない。一緒に買い物に行き、その他の余計な買い物もしてしまう。このランドセル商法の方程式に消費者ははめ込まれているのかも知れない。
 政治の世界も以前はシンプルだった。自民党と社会党、民主党と自民党という国政の2大政党が切磋琢磨(せっさたくま)し、政策論争を行う。そして3年前の夏、ついに政権交代が行われ、野党だった民主党が与党になった。その後の民主党政権の運営は特筆する必要もなく、周知の通り。民主政権1年半にして既に若手漫才師のネタに。「何とかならんかね〜」と言うツッコミに対して「民主党ですか?」とボケ、うまいこと言うもんだと感心させられたものだ。
 とにかく何ともならないので、政界も色とりどりになってきた。民主党、自民党、公明党、共産党などの既成政党に加えて、前回の参院選で躍進したみんなの党、社会保障と税の一体改革関連法案で消費増税に反対した小沢一郎氏が率いる国民の生活が第一、いよいよ国政への進出を本格化させている大阪市の橋下徹市長が率いる日本維新の会…。
 人気色の日本維新の会にあやかろうとする政治家の面々もある。同党に合流した国会議員の顔ぶれを見て東京都の石原慎太郎知事は「あの顔ぶれじゃ…」とコメントしている。また民主党の県連代表に就任した吉川政重衆院議員(県3区)も同様にこれらの顔ぶれを「自分の選挙が近くなってきたことを考えての行動」と皮肉った。
 今週は県内でも政界に大きな動きがあり、高市郡・橿原市選出の山本進章県議が「政策に共鳴した」として自民党を離党し、日本維新の会へ参加することを表明。国民の生活が第一の中村哲治参院議員はくら替えし、次期衆院選に県2区から立候補することを表明した。民主、自民、共産は県全区で立候補者を擁立するが、これ以外の第三極を含め、県民は何色を選ぶか。
 約束を掲げる政治家の責任はもちろんだが、われわれ有権者も選ぶ責任を今一度、かみしめなければいけない。選ぶということを軽んじてはいないか―。先の政権交代「何ともならん」と嘆いても、それは見極めなかった有権者の判断。
 この先の4年を託す政党を選ぶ次期衆院選。「長いこと使うもの」だからこそ、偽物や粗悪品、流行に乗っかるだけの派手な色など、真贋を見分ける有権者の目が希望ある未来をつくる。

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
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