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内山永久寺創建900年 観光誘客の起爆剤に

2012年11月02日

論説委員 黒田高弘

 天理といって真っ先に思い出すのは? こんな質問を若者に投げ掛けたところ、一番多い答えはやはり、高校野球全国大会出場常連校の「天理高校」、次いで多かったのが「天理スタミナラーメン」だったそうだ。若者にとっては、宗教文化都市も日本最古の「山の辺の道」もあまり印象にないようだ。
 観光に対するニーズが多様化する近年。お隣の国・韓国に行く女性が増えている。そのお目当てはなんといっても「食」と「美」。韓国料理に舌鼓を打ち、化粧品を買い求める。現地観光は二の次だ。
 旅行専門雑誌「じゃらん」がインターネット上で実施した宿泊旅行調査によると、奈良県に対する総合的な満足度は平城遷都1300年祭があった平成22年の10位から、今年は26位まで大きく下落。「魅力的な宿泊施設が多かった」(40位)、「魅力ある特産品や土産物が多かった」(43位)、「地元ならではのおいしい食べ物が多かった」(44位)、「若者が楽しめるスポットや施設が多かった」(45位)と一度訪れた人の奈良に対する評価は極めて低い。
 「食」の部分で女性客は離れ、楽しめるスポットがないということで若者が訪れない。ソーシャルメディアが普及し、ツイッターやフェイスブックで「この料理おいしい」と写真付きでお店を紹介する人も増えている。これらソーシャルメディア利用者から「つまんねー!奈良」などと書き込まれでもすれば、全世界に「楽しくない奈良」が発信され、印象付けられる。
 天理と言えば、天理高校、天理スタミナラーメンが思い浮かぶ通り、メディアでの露出や口コミでの広がりが認知度、印象度を左右する時代に来ている。
 江戸時代には「大和の日光」「西の日光」とも呼ばれる名刹(めいさつ)だったが、明治の廃仏毀釈(きしゃく)で廃寺となった犖犬了疇盪咳糞彁が2年後の平成26年に創建900年を迎えるにあたり、これを観光活性化の起爆剤にしようとする動きがある。
 天理市議会の9月定例会では、内山永久寺の創建900年が市制60周年に当たることから、これを生かした事業をと議員が指摘したものの、市側は「今のところ白紙。現在の財政状況では、新たな財源を追加して事業展開をすることは非常に困難」と後ろ向きともとれる答弁で終わってしまっている。
 宿泊調査の結果からみれば、史跡を中心とした観光戦略はもう時代遅れかもしれない。だが、この貴重な地域の資産のメモリアルイヤーを軸に、さまざまなアイデアを出し、官民が一体となって地域振興を図ろうという意識を持つことが大切だ。地域づくりこそが観光を生み出す。
 内山永久寺を軸に、同寺跡を通る山の辺の道で「日本最古の道マラソン大会」を開催してもいい、天理スタミナラーメンの知名度が高いなら「ご当地ラーメン選手権in天理」を考えてみてもいいかもしれない。そういったイベントを開催することで、多くの観光客が天理を訪れ、天理の魅力をさらに多くの人に伝えてもらう。お金を出さず知恵を出してできることはたくさんあるはずだ。

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
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