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コンクリートから木造へ 学校図書館の木質化を

2012年11月09日

主筆 藤山純一

 奈良県南部に位置し、その広さは県の約5分の1を占める十津川村は、村としては全国一の広さを誇る。南北約33繊東西約33・4舛如△修96%が山林である。
 県庁所在地の奈良市内から車で向かうと、一部、京奈和自動車道が整備された今も、3時間は十分かかる。奈良市内から北方に3時間走れば、第2阪奈道、近畿自動車道、中国自動車道、舞鶴自動車道と乗り継いでいくと、大きな渋滞がない限り日本海に到達する。
 それだけに紀伊半島のほぼ中央に位置する十津川村は、近くて遠い存在であり、奥深く雄大である。
 特に玉置山(1076叩房辺は、その頂上近くに鎮座し、第10代崇神天皇の御代に創建されたとされる玉置神社の神域。天然記念物の樹齢1000年以上の巨杉群に囲まれ、「紀伊半島の霊場と参詣道」として世界遺産にも指定されており、神秘的でわが国の原風景を感じさせる。
 昨年9月の台風12号による紀伊半島大水害で大きな被害を受けた十津川村だが、復興に取り組む更谷慈禧村長は大水害を振り返り「自然の大切さ、人の支え合いの大切さに気づかせてくれた。この村を、山間地を絶対に残さなくてはならない。十津川がつぶれたら日本はつぶれる」と強調。
 「そう思うからこそ自然に感謝し、山に恩返しする。これを機軸に村づくりをしていきたい。それが日本を守ることになるんじゃないかと思う」と語り、置き去りになりがちな国の山村振興対策に警鐘を鳴らした。
 さらに更谷村長は村の基幹産業である林業について「山を切って育ててというだけでなく、働く場所を増やすため木材の生産(1次産業)・加工(2次)・販売(3次)を一体化した『山の6次産業』を推し進めていきたい」と強い意欲を示した。
 「コンクリートから人へ」とはどこかで聞いたことのあるキャッチフレーズだが、木材の温かさ、人を包み込むような優しさを考える時、さらには山村振興を推し進める上でも、ぜひ「コンクリートから木造へ」を提唱したい。
 ひと昔前の小中学校の校舎は木造だった。廊下を走れば「メシメシ」と音がして木のぬくもりに包まれていたように思う。それがいつの間にか冷たいコンクリートに変わってしまった。
 殺伐とした現代社会を考える時、果たしてこれでよかったのか疑問でならない。火災や耐震の問題もあると思うが、現在の子どもたちを取り巻く環境を考えると、もう一度木造化を見直してもいいのではないかと思う。
 そこで学校自体を全面改築することは難しいため、ぜひ実現していただきたいのが「学校図書館の木質化」である。小中学校でたくさんの本と出合う場所が学校図書館だ。子どもたちに心豊かで行間の読める、創造性に満ちた大人に育ってほしいと願うのは筆者だけではあるまい。
 県内には約340の公立小中学校がある。すべての図書館を県産木材でリニューアルして子どもたちが喜んで集う、笑顔あふれる学びの空間にしたいものである。

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
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