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評価される経済・文化力 発展途上の政治力

2012年11月16日

論説委員 染谷 和則

 四季のあるわが国はさまざまな色で彩られている。晩秋の風が間もなく次の季節を運び迎える師走、国民は大きな選択を迫られる。「美しい国、日本」を唱える自民党の安倍晋三総裁が党首討論で野田佳彦首相に「近いうち」の衆院解散を迫り、野田首相はきょう16日の解散を表明。首相の発言に衝撃が走った。
 党首討論の最後、安倍総裁はデフレ経済の脱却に加えて「外交敗北から脱却し、美しい海と国土を取り戻す」と答弁、野田首相は「覚悟のない自民党に政権は戻さない」と応戦した。表明の翌日の全国各紙の社説は「重い決断を評価」「決断を支持する」などと野田首相支持の見出しが躍り、党首討論は野田首相に軍配が上がったようだ。選挙では第三極を交え、いよいよ雌雄を決する時を迎え、閉塞(へいそく)感が取り巻くこの国の行く先が決まる。
 日本が政権交代を迎える前、「チェンジ」を叫んでアメリカ大統領に就任したオバマ氏は、先日の大統領選を制して2期目をスタートさせた。こちらも経済の建て直しが大きな課題になっている。アメリカをはじめ他国と比較し、わが国はコロコロとトップが入れ替わる。3年半に満たない民主党政権で既に3人目の首相だ。他国から日本がどのように見られているか、おおよそ見当がつく。
 日本に興味を持ち、来日する外国人観光客のうち、スペイン人の3人に1人、フランス人の5人に1人が奈良県を訪れている。奈良のどこに魅力を感じているのか、その一端を本紙の今号で報じた。文化力の高い国々が、日本の文化や歴史、ひいては民族の精神性に魅力を感じてくれている。わが国のはじまり奈良に凝縮されたそれらのエッセンスを探し、共感してくれている。奈良市内で取材したスペイン人は「四季や寺社が美しい」と評してくれた。
 今夏、韓国に渡航する機会があった。土産物店には買い求める客の長蛇の列が。「わたし、これ買うだけやから先に行かせて」と言わんばかりに割り込む人の姿。これらは急成長した世界一の狢膵餃瓩諒々ばかり。韓国人の現地ガイドは「日本人はきれいに並ぶでしょ。昔は韓国人も並ばない、マナーの悪い人が多くいた。経済で日本に追いつけ、追い越せと頑張ってきた韓国は今、日本人の文化力を目標にしている。(並ばない)あの国の方々は経済力を手にしても、まだそういう段階ではないのでしょう」
 日本は冷え込んでいるとはいえ、世界屈指の経済力を持つまでに成長し、文化力を高めてきた。スペインやフランス、イタリアなどからもわが国の文化が評価され、原点の奈良への訪問につながっている。もともと、わが国は美しいのだ。経済力も文化力も高い日本。唯一、美しくないものがあるとすれば、政治力だ。各国に恥じるべき稚拙で短絡的、常に不安定さを露呈する政治世界には「美しい」の形容詞は付けられない。
 近いうちに白い冬を迎える。他国に美しいと評される文化を育んだ季節の移ろいだが、政界の移ろいはいつも落胆するばかり。発展途上の日本の政治力の向上を衆院選に期待したい。

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
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