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師走選挙 不信加速のどたばた劇

2012年11月23日

論説委員 黒田高弘

 毎年話題に上がる年の瀬の恒例イベント「今年の漢字」。昨年は東日本大震災やサッカーW杯でなでしこジャパンが優勝したことなどから家族愛や仲間の大切さがクローズアップされ、「絆」が選ばれた。
 さて今年の漢字は。勝手な予想をすれば「騒」だ。金環日食、東京スカイツリーの開業、ロンドン五輪での日本人選手の活躍に歓喜する一方、竹島・尖閣諸島の上陸問題などにより、日本製品の不買運動や中国人観光客の激減など外交問題で揺れた。騒がしい一年だった。
 そして一番騒々しかったのが政治。民主・自民・公明3党により消費増税法案が成立、小沢一郎氏らを中心に民主から離党者が続出し、野田佳彦首相の「近いうち」解散の時期が話題に。橋下徹大阪市長率いる「日本維新の会」に注目が集まり、東京都知事だった石原慎太郎氏が国政復活を目指し辞職、第三極の大同団結を模索。そして今月16日の野田首相の解散宣言。29年ぶりの師走選挙という騒動を引き起こした。今年1年が政治というより政局だった感もある。
 ちなみに29年前、昭和58年の師走選挙は「田中判決選挙」とも呼ばれ、田中角栄元首相がロッキード事件への関与で有罪となり追い詰められた当時の中曽根康弘首相が解散を表明。自民党が過半数割れを起こす結果となった。
 追い詰められた末の決断という意味では、29年前の選挙と似ている今回の選挙。大量造反に加え、第三極の脅威。そういった意味では、野田首相は危急存亡の渦中にあって、機先を制したともいえる。
 だが、この師走選挙への有権者の目は冷ややかだ。年の瀬という何かと忙しい時節であることに加え、小選挙区比例代表並立制が導入された平成8年以降最多の16の政党が乱立しながら、どたばた解散ということもあり、準備不足で各党の具体的政策が見えない。
 政党の乱立は、民主や自民といった大政党を有利にさせる。石原氏は第三極の大同団結を進めるが、すでに物別れに終わっている政党もある。争点も、TPP(環太平洋経済連携協定)にはじまり、消費増税、脱原発、国会議員の給料および定数削減、統治機構改革に至るまで多岐にわたり、判断しづらい状況にある。今号の衆院選県4区世論調査でも、投票の判断となる課題については有権者の意見が分かれた。
 課題を争点にするよりも対立軸が判断基準となる可能性もある。民主党政権の「継承」か「変革」か、既存政党か第三極か―。
 2週間後には衆院選がスタートする。師走選挙は投票率が下がると言われ、投票率が低ければ組織力を持つ大政党が優位になる。加えて、どたばた解散で有権者の政治不信はさらに加速しており、政治不信による投票行動の棄権はすなわち大政党を利する結果を生み出しかねない。
 われわれ有権者はこの大政党の策略にまんまと乗ってしまってはならない。どんな結果が待ち受けているにせよ、投票という行為を放棄せず、「清き一票」を投じるべきだ。

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
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