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有権者、民主政権に審判 悩むでなく考える1票を

2012年12月07日

論説委員 染谷和則

 近ごろ悩んでいる人によく出会う。熱戦の火ぶたが切って落とされた第46回衆院選の情勢を報道するため、本紙は県4区、3区、そして今号で報じた2区と総力を挙げて世論調査を重ねてきた。記者たちが主要駅や公共施設などに出向き、これまで3つの区で計965人の県民の生の声を聞いてきた。そのうちの4人に1人が小選挙区や比例代表の投票先を「悩んでいる」。
 冷え込む景気、デフレ、外交に国防問題、TPP、原発と電気料金、国民の肩にのしかかる消費増税、霞ケ関の官僚主導の国のあり方…。郵政民営化、政権交代と、シンプルな争点ではないのが今回の衆院選。だからこそ、有権者は悩んでいる。
 政治不信も高まるばかりだ。本紙世論調査の回答用紙には「誰がなっても一緒。だから投票には行かない」(54歳男性、大和郡山市)、「日曜にわざわざ自分の時間を割いて投票に行く価値があるのか」(47歳男性、生駒市)など、厳しい意見が記されている。
 さらに、過去最多の政党数で争われることも悩みの種か。「ようけ政党こさえてどうすんの?」(78歳女性、生駒郡)、「党同士でけんかばかり。良い政治は望めそうにない」(58歳女性、大和郡山市)などの意見も寄せられている。
 「悩む」は本来ネガティブなイメージ。これがポジティブになると、わざわさ「ぜいたくな悩み」とか説明をつけて使う。今回の有権者の悩みは、政党の選択肢が多いからといって、ぜいたくな悩みというわけではなさそうだ。政界はこれだけの狆ι淵薀ぅ鵐▲奪廰瓩鬚修蹐┐討癸歓佑烹運佑防塰を持たせているのかも知れない。「どうせ…」と思っているこれらの層はもはや、無視できない民意だ。
 県2区の調査で出会った生駒郡の49歳男性が、印象的なコメントをしてくれた。「民主はどうかと思うが、自民に入れると自分自身が馬鹿のようだ。あっちがダメならこっちに戻る。そんな政治をつくっていては安定しない」。民主への政権交代から3年と少し。長年続いた自民党を中心とする政権を倒すのに何十年かかっただろう。その歳月を見て、有権者は判断した。だが、ここまでの民主の体たらくは誰も想像だにしなかった。
 有権者の判断する時間的猶予が短縮されたのが政権交代の産物だろうか。本紙世論調査でも全国紙やテレビの調査でも民主斜陽、今選挙で有権者から3年少々で「ノー」を突きつけられるのは確実視されている。
 さまざまな分野での国難に直面している今日。有権者は安定した政権を求める一方で、審判を下す猶予期間を短縮している。皆が悩んでいる。第三極の日本維新の会や日本未来の会などに流れる票もあるだろう。自民が過半数(241議席)を超えそうという報道もある。
 ここもあそこもあかんと、悩みに悩み消去法で投票する有権者の不幸は政治に半分の責任がある。一方、国の将来を「考えない有権者の責任でもある。できもしない公約やブレる発言を繰り返す政党に流され、悩むばかりの有権者になるのではなく、考え抜いた1票を投じて、1年を締めくくりたい。

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
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