論点

トップ論点一覧 > 論点

議会制民主主義 もっと議員条例提案を

2013年03月01日

主筆 藤山純一

 行政における議会の役割とは何か、議員の果たすべき使命とは―。「政治とカネ」の問題が問われて久しいが、今こそ議会、議員のあり方が問われている時はない。
 選挙で選ばれた民意の代表者が政治に参加し、その民意を反映させる政治制度が議会制民主主義だが、そのルーツはイギリスから長い戦いの末、独立を果たしたアメリカにあるといわれる。奴隷解放運動から女性の参政権獲得へと「自由と独立」を求めて壮絶な戦いの結果、勝ち得たものが議会制民主主義なのである。
 わが国では明治初期に「言論の自由、集会の自由」を求めて自由民権運動が全国的に起こり、帝国議会が開設されたものの、議会制民主主義が制度的に確立されたのは、大きな犠牲を払った戦争を経た後の日本国憲法が制定されてからだ。
 差別や迫害、弾圧をはねのけ、自由と権利を求めて人々が戦ってきた、その大きな成果が議会制民主主義であり、人類が生み出した偉大な歴史的英知の一つといわれる。
 ところが、そうして誕生した議会制民主主義の現状はどうかと考える時、残念ながら問題が多すぎはしないか。果たしてしっかりと機能しているのか、疑問に思うのは筆者だけではあるまい。党利党略、派利派略に明け暮れ、私利私欲に走る。すべてとは言わないが、こういった政治家がいかに多いか。監視の目を忘れまい。
 そして議会制民主主義を問う時、まず有権者の民意がしっかりと反映されているかどうかである。特に地方議会で一部有権者のための利益誘導をしていないか、私利私欲に走っていないか。地方自治体の将来を見つめ、その発展のため身を削るのが議員である。
 また、議会で十二分な審議が保障され、実際に実行しているかどうかだ。派利派略で議員活動が制限されたり、本会議や委員会での審議をお座成りにしていないか。よく欠席する議員については議員としての資格そのものを厳しく問いたい。
 さらに行政をしっかりチェックし監視することは当然として、政策条例を提案するなどして、積極的に行政の機能強化や住民の意思反映に努めているかどうかだ。特に住民の声を政策に反映する条例提案をもっと推し進めるべきではないか。
 奈良市議会の場合、ここ数年、市の基本計画や基本構想などについて市議会の議決が必要とする条例案や市職員の倫理条例案などが提案されたが、市民の声を反映した市独自の議員による政策条例案は、ほとんどないのが現状だ。他の市町村議会も同様ではないだろうか。
 長い歴史をかけて、大きな犠牲を払って勝ち取ってきた議会制民主主義。もちろん後戻りさせてはいけないし、さらに充実、発展させていくべきではないだろうか。そのためには選ばれた議員自身が厳しく行政をチェックし、謙虚に市民、住民の声に耳を傾け、それを実現させていく地道な努力が求められる。
 もしそれを怠り、驕(おご)りを露(あら)わにする政治家がいるとすれば、まさに厳しく検証していかねばならない。

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
  • 応援しよう地元の バンビシャス奈良×奈良日日新聞 奈良日日新聞はチーム準オフィシャルメディアです
  • 奈良日日新聞 購読・購入のお申込み
  • 広告のご案内
  • 奈良日日新聞 会社情報


  • ならにちホームページガイド
  • つぶやきで奈良をもっと楽しくしよう!ツイ奈良交流会

ホームニュース紙面内容紹介論点悠言録

購読のお申し込みバックナンバー購入のご案内広告のご案内会社情報個人情報保護

当サイトに掲載の記事・写真・図版などの無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権並びに国際条約により保護されています。

Copyright Nara Nichinichi Newspaper