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奈良市長選前哨戦で維新敗退 有権者に問われる「目利き」

2013年04月19日

論説委員 染谷和則

 奈良市長選を占う上で注目を集めた兵庫県伊丹市、宝塚市の任期満了に伴う市長選が14日投開票され、いずれも現職が再選し、日本維新の会が惨敗した。同党は共同代表の橋下徹大阪市長が掲げる「大阪都構想」実現のため、両市長選に独自候補を送り出して全国初の首長誕生をもくろんだが、民意は「ノー」。県内各党幹部からは「維新の人気は下り坂」「維新の姿に有権者が気付いた」と分析されている。
 宝塚市長に再選した無所属の中川智子氏(65)は「大阪都構想の中、宝塚を大阪の自治体に組み込むようなことを維新は言っていた。維新に宝塚を奪われてなるものかと思った」と語っている。橋下氏は「コミュニケーションをとれていなかっただけ」と敗戦を分析しているようだが、維新勢力が大阪以外の関西圏に浸透していないことを浮き彫りにしたとともに、「都構想」が関西府県の行政間で大きな火種になることを示した。
 翌15日、元国土交通省官僚の大野祐司氏(52)が任期満了に伴う奈良市長選(7月14日告示、21日投開票)に無所属で立候補することを表明した。大野氏は「維新塾」の1期生。昨年12月の衆院選では日本維新の会の公認候補として県1区から立候補したが、落選している。
 大野氏は、維新が公認候補に与える肩書「奈良1区支部長」への再任を辞退し、市長選への出馬を決めた。出馬会見の中、伊丹、宝塚の両市長選で維新が大敗したことを「地域の実情を理解せず、大阪で決めたことに従えという『上から目線』は違和感がある」と語った。維新関係者だった人物が放つ、この言葉は重い―。
 平成22年の参院選で「自民も民主もノー」とする有権者の受け皿になったみんなの党だが、それは一時の流行やカンフル剤に過ぎなかった。現在の支持率は低下の一途。それは衆院選の結果が示している。特に、関西圏では維新に「受け皿」のお株を奪われたような格好。政党のはやりすたりは年々、激しさを増している。
 昨年の衆選の県内小選挙区で維新はすべて敗退したが、比例区では自民の計19万6095票を抜いて計20万7095票を獲得し「第1党」になっている。「橋下は支持するが、橋下にあやかろうとする風見鶏はノー」という県民の声を代弁しているようだ。ここに、「地域の実情」に重きを置く有権者の投票基準を垣間見ることができる。
 奈良市長選には、現職の仲川元庸氏(37)、市議の池田慎久氏(44)、県議でみんなの党と日本維新の会公認の浅川清仁氏(58)、大野氏が立候補を表明。現在、独自候補擁立を模索している自民党、共産党を加えると最大6人の出馬が予想されており、現市政に異を唱える「反仲川勢力」の分散が追い風になるのは、ただ1人。
 参院選と同日選になることが予想される奈良市長選は、一部では「政党選挙」と位置づけられているが、地域のリーダーを選ぶのは国の代表を選ぶのとは事情が違い、身近な市民生活に直結する。乱立する各候補の政策を見極める「目利き」が、有権者に問われる選挙となる。

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