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遅滞する火葬場、ごみ焼却場移転 策なくば聞く姿勢を

2014年12月05日

論説委員 染谷和則

 奈良市の懸案事項になっている火葬場とクリーンセンターのそれぞれの移転問題について、開会中の市議会12月定例会で各会派の代表質問や一般質問が相次ぎ、仲川元庸市長はこれら懸案事項を「市の最大の課題」と位置付け、移転が遅延していることについては「すべてわたしの責任」と答弁した。
 しかしながら、双方の施設の移転に関係する地元自治会との交渉については、市が火葬場の移転先候補としている横井東町には2度のみ、現在火葬場があり、長年移転を求めている白毫寺町にはこの4年間で一度も自ら足を運んでいない。交渉力の欠如を超え、課題解決をしようとする姿勢すら仲川市政には感じられない。
 開会中の本会議では耳をうたがうような仲川市長の言動の問題が、今西正延議員(奈良未来の会)から指摘があった。先月、東京都千代田区の丸の内ハウスで開催された奈良市の食と観光をPRするイベントに出席した仲川市長は、トークショー出演した。
 この場では、フリーアナウンサーがコーディネーターを務め、仲川市長と奈良市で飲食店を営む女性との対談があった。本番前のリハーサル、随行職員や観客が散見する中、「市長のストレス発散方法は」との質問に「市長決裁に来た職員をいじめること」と発言したというのだ。
 本会議で事実関係をただす今西氏の質問に
対して仲川市長は「その場は非常にカジュアルな場で、市の取り組みなどを話す中で、もしかしたらそういう中で出た言葉かもしれません。ただ、記憶にはなく…」と、肯定も否定もしない答弁となった。
 しかし既に市役所の職員複数がこの事実を証言しているほか、市職員組合関係者も「事実かどうか、確認する必要があると考えている。事実であれば大きな問題」と話しており、庁内の職員間での大きな関心ごとになっており、トップへの不信感が募っている。
 市には大きな課題が山積している。火葬場の移転の財源は合併特例債で、この有効期限は平成32年度末。職員や市民の意見を聞きながら、共に良い奈良市を築くはすではなかったのか―。
 本紙が今号報じたドリームランド跡地について、市民の意見の7割超は「市が主体となって跡地の活用を模索すべき」、また活用方法を見出せれば跡地を市が取得することにも「同意できる」との意見が7割を占め、公売にかけ、貴重で広大な土地を「どこが落札するかわからない」公売の手法に市民は異を唱えている。
 現在の奈良市政は考えることを止めている。市民や職員の意見に目をそむけてはいないか。仲川市長の東京での発言の真偽は今後の内部の調査などで判明するだろうが、火葬場移転問題も就任時には「移転先は10数カ所ある」や「ドリームランドに決めた」などと発言し、全体のコンセンサスを得ず、失言を繰り返してきた。
 いい加減、諸問題に向き合うべきではないか。「すべてわたしの責任」と認めざるを得ない状況にまで市政は停滞している。無策で判断ができないのであれば、周囲の人の声に耳を傾けるべきだ。

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