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消滅する自治体 生き残りかけ対策を

2015年03月06日

主筆 藤山純一

 終戦直後、7000万人余りだった日本の人口は、平成20年の1億2808万人をピークに減り始めた。これから数十年、近代ではどこの国も経験したことのないスピードで減り続けるという。
 このまま放置すれば、100年後、日本の人口は約4300万人と今の3分の1になってしまうという推計もある。一方、「超高齢化」が進み、人口全体は減るが、65歳以上の人の数は30年近く増え続け、25年後には3人に1人が65歳という異常な人口構成となる計算だ。
 さらに、昨年発表された民間研究機関「日本創生会議」の試算によると、人口移動の状況を加味して推計すると、平成22年と比べ、30年後には20〜39歳の若年女性が半分以下に減る自治体「消滅可能性都市」が、全国約1800の自治体の半数にあたる896市町村に及び、このうち523市町村は人口1万人を切るというショッキングなデータも明らかになっている。
 この「消滅可能性都市」は県内でも26市町村に及び、若年女性が89・0%減となる川上村を筆頭に吉野町(84・4%減)、東吉野村(82・7%減)、曽爾村(80・6%減)、下市町(75・9%減)、山添村(74・3%減)、明日香村(73・1%減)、宇陀市(72・0%減)と続く。
 同会議では「若い女性が急減すれば将来、自治体消滅の恐れがある」と警告、特に山間部では深刻な事態が迫っている。
 また、1人の女性が一生の間に産む子どもの数である出生率(合計特殊出生率)をみても、厚生労働省の調べによると、平成17年に過去最低の1・26を記録。25年には1・43と少し回復したものの、減少傾向は続く。
 奈良県は同年、東京、京都、北海道に次ぐワースト4で1・31に留まる。トップ5は沖縄県(1・94)、宮崎県(1・72)、島根県(1・65)、熊本県(1・65)、長崎県(1・64で、どちらにしても2・0を超えない。
 「超高齢人口減少社会」の到来を前にして、このまま何の対策もなく放置していれば、地方自治体は、いや日本自体が消滅してしまうのではなか。強い危機感を抱かざるを得ない。地方自治体といっても漠然と税収を期待し、その範囲で施策を講じているだけでは生き残れない。
 消滅の危機を乗り切るため、税収増加に向け、積極的にあらゆる可能な手段で打って出るぐらいの気迫が必要だろう。その自治体の意気込みが「ふるさと納税」の実態に表れているといえよう。
 自分の生まれた故郷や応援したい自治体など、どの自治体に対する寄付でも対象となる「ふるさと納税」。各自治体の実情にもよるが、佐賀県の玄海町では年間10億円の納入があるというから驚きだ。特典として贈る同町産の黒毛和牛などに人気が殺到、地場産業の活性化に大きな効果が出ているという。
 国のふるさと創生事業もしかり。汗を流す地方自治体にこそ補助金が投入される。「ふるさと納税」には課題も多いが、税収増加の大きな手段として、各自治体の手腕が問われている。

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