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維新県支部茶番の応援 矛盾政策許すな

2015年03月13日

論説委員 田村耕一

 3月26日告示の知事選は熱気を帯びてきた。現在のところ3期を目指す現職の荒井正吾氏、前生駒市長の山下真氏、共産党県委員会書記長の谷川和広氏、会社役員の岩崎孝彦氏の争いになると見られる。このほど、荒井知事は行政のプロとして2期の実績をアピールした。県財政の健全化、観光振興、農業振興をはじめ医療、健康、福祉、市町村支援などについて、具体的な数値実績を示しエビデンス(証拠)重視の行政手法を示した。また、市町村との連携実績も強調した。
 山下氏は荒井知事の主要政策に真っ向から反対する政策を発表した。国際級ホテル誘致関連事業、平城宮跡周辺整備事業、国際芸術家村構想事業、奈良の食と農の創造事業などについては見直すとした。一方で、小中学校へのエアコン導入、返還不要の奨学金制度、バス路線の不廃止などを挙げつつも県の借金減らしをするという。その原資は「事業仕分け」により生み出すそうであるが、いつか見た風景に近い。
 これまで、小紙は山下氏の政治手法を厳しく追及してきた。今回の政策発表でとりわけ奇異に感じたのは2点ある。その1つが人口増加策である。同氏は市街化区域の拡大を図り人口増加策を採るという。かつてURと県が関西学研都市高山第2工区の整備を進めようとした時、同氏は、その整備を希求する住民の声をも無視した。そして次々に無理難題を吹き掛け、遂に、この事業は頓挫した。今更、人口策とは笑止というほかない。また、「関西の住宅都市としての人気は滋賀県に追い越された」としている。同県の人口増の要因は企業誘致、学校誘致、住宅開発政策、比較的廉価な地価に負うところが多い。「開発反対」を標榜(ひょうぼう)してこれらの政策を採らなかったのは、誰だったのかと問いたい。
 次いで関西広域連合問題である。同氏は関西広域連合への全面参加を表明した。行政の広域連合化は産業の空洞化と地域消滅の危険をはらんでいるとの指摘もある。
 山下氏が県の南部振興、東部振興では「地域」と「個」の重視を説き、観光振興においても地域特有の「個」の魅力を主張する反面、力学的に大都市を主体とした運営がなされるであろう関西広域連合に全面的に加入するなど理論的に矛盾している。まさに夢を語るまやかしの政策としか言いようがない。
 このほど、荒井知事は文化・観光、防災など、本県にとって広域的な連携を図ったほうが有利と見た部分についてのみ参加表明した。これでよいのではないか。地域特性の異なる行政体が一体的な運営を進めるとなると、自ずと力関係が生じ、大都市主導になるのは自明である。山下氏は広域連合化を進める「維新」に近づこうとしているものの、同党の橋下大阪市長、松井大阪府知事はこれを明確に拒否した。
 ところが、この二人が山下氏の不支持を打ち出しているにもかかわらず、維新の県支部は自主的に山下氏を支持するという。橋下氏や松井氏が山下氏の支持はしないと言明している中、県支部が勝手に山下氏の応援をするなど茶番である。

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