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[2015年03月20日]

 「龍の子太郎」などで知られる、児童文学作家の松谷みよ子さんが亡くなった。89歳だった。長野県中野市に疎開中、作家の坪田譲治氏と出会い、児童文学を学ぶようになった松谷さん▼自身の子育て経験を踏まえた「モモちゃん」シリーズや赤ちゃんも楽しめる「いない いない ばあ」など、優しく時に鋭い語り口調の絵本が数々の読者を魅了した。一方で民話研究会を主宰し、全国の民話や民間伝承を採集する活動にいそしんだことも有名な話だ▼冒頭の「龍の子太郎」も長野県に伝わる民話を中心に、秋田県など全国各地の民話を題材に描かれている。怠け者の主人公・太郎が母が龍であることを聞かされ、母を捜す旅に出るというストーリーだ▼東日本大震災の被災地では近ごろ「幽霊目撃」談や「心霊体験」情報が相次いでいるという。「津波の犠牲者と再会した」「幽霊がタクシーに乗り込んで来て、震災が理由で死んだかどうかを尋ねる」など、災害に巻き込まれ不本意な死を遂げたことが話の背景にあることは間違いない▼こうした状況に対して「不謹慎だ」という声も上がるが、果たしてそうだろうか。松谷さんは絵本を通して両親の離婚問題や広島の原爆など、大人の世界の暗い部分を隠さず表現し、子どもたちに伝えてきた▼光も闇も抱えて生きているのが人間というもの。現状から目を背けず次の世代に伝えていくことが今、私たちに求められている気がしてならない。(昌)

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