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警官の交通事故もみ消し 信頼、失うは一瞬

2015年06月05日

論説委員 染谷和則

現金やデリバリーヘルス無料利用の見返りを受け、風俗店経営の堀遼容疑者(24)の無免許交通事故をもみ消した警察官の不祥事で、県民の警察へ対する信頼が揺らいでいる。「あってはならない事件」が起こってしまった。
 しかも捜査では、このもみ消し事件は犯人隠避で逮捕された奈良警察署交通2課巡査部長、中西祥隆容疑者(44)から、堀容疑者に事故現場で持ちかけたものと見られており、県警の交通取り締まりそのものにまで疑念の目が向けられる。
 捜査関係者への取材では、逮捕された中西容疑者は「何度も数十万のカネを要求していた」と話している。両容疑者は頻繁に連絡を取っていたと見られており、中西容疑者が堀容疑者に対して「ゆすり」「たかり」をしていた可能性が浮上している。
 また無料のデリバリーヘルスの利用についても、中西容疑者が頻繁に要求していたと見られており、県警は贈収賄容疑も視野にさらに調べを進めていくとしている。こうなると、中西容疑者が関与した過去の取り締まりすべてに疑念、疑惑が生じてくる。
 中西容疑者は事件当日、20歳代の同僚とパトカーに乗車。西名阪で風俗店経営の男のスピード違反を確認し、追跡。交通事故は逃走の際に発生したもので、中西容疑者の狒衙性瓩發修両譴砲い拭しかし、「従属関係」「上下関係」の間柄のため、黙認していたとみられている。県警は現在、この同僚にも任意で話を聞いているが、黙認していたことに事件の闇の深さが浮き彫りになってはいないか。   
 通常パトカーには2人で乗車するルールになっている。「現認」と呼ばれる違反や犯罪に対する警察官の目撃、証拠を確たるものにすることが主な目的だが、警官の不正を未然に防ぐ狙いもある。今回のもみ消し事件では、このシステムがまったく機能していなかった。
 この不祥事を発端に県民の県警に対する信頼は大きく揺らいでいるが、警官同士の監視の意味合いがある「相棒」「パートーナー」が犂岼磴辰真頼関係瓩之襪个譴討い燭海箸砲癲県民の落胆は計り知れない。
 再発防止のため、この事件を教訓に、県警は組織を見直さなければならないはずだ。不正告発をしやすい環境にする、告発を聞く体制を強化する…。本年度の県警の運営方針「日本一安全で安心して暮らせる奈良の実現〜より強く優しく頼もしい警察」を体現するためにも、組織改革が必要だろう。
 一人の愚かな警察官の過ちで、日夜県民の安全・安心のために尽力している正しき警察官までが、当面、県民から疑念の目を向けられることになるだろう。中西容疑者は「後悔しても後悔しきれない」と反省の旨の供述を始めているが、自身はもちろん、組織が失ったものの大きさは図り知れない。
 信頼は積み重ねの上にようやく成立するものだが、失うのはまさに一瞬―。正義のため志した警察官の原点に立ち返り、このようなあってはならない事件が再び起こらないことを切に願い、事件の全容解明を期待したい。

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