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大神神社周辺整備 三輪版おかげ横丁に

2015年10月30日

論説委員 黒田高弘

 2年前、20年に一度の式年遷宮でにぎわう伊勢神宮を参拝した。平日にもかかわらず伊勢市に入った途端に、大渋滞。外宮参拝後に内宮へ向かおうとしたが、外宮の駐車場はどこも満車。約30分後に車を停めることができたが、境内も多くの参拝者でごった返していた。
 伊勢神宮広報の発表によると、式年遷宮が行われた平成25年の参拝者数は約1420万人、昨年1年間も約1086万人で2年連続で1000万人を突破した。明治28年の集計開始以来、最多だったのが22年の約883万人。式年遷宮により過去最高を更新し、2年連続での大台突破と、その勢いは止まるところを知らない。
 式年遷宮効果さることながら、多くの観光客の目を、足を、伊勢に向けさせるのは宇治橋から五十鈴川に沿って続く約800辰糧しい石畳、切妻・入母屋・妻入り様式の町並みが軒を連ねる伊勢神宮内宮前のおはらい町と、おかげ横丁の存在だろう。
 おかげ横丁は第61回式年遷宮の年にあたる平成5年に開業。約1万3200平方辰良瀉脇發帽掌佑ら明治にかけての伊勢路の代表的な建築物が移築・再現され、三重の老舗の味や歴史から人情まで一度に体感することができる。
 近年は年間約400万人の人が訪れるといい、伊勢神宮参拝前後に、ここで食事をとったり、土産物を購入する。神社と周辺店舗が見事に融合した結果といえる。
 日本最古の神社として全国に知られる大神神社。年間約600万人が訪れる県内屈指の観光スポットではあるが、伊勢神宮の参拝者数には遠く及ばない。その最たる理由が、神社と周辺店舗の融合が図られていないことにほかならない。
 鉄道利用者の玄関口となるJR三輪駅から大神神社への導線となる三輪駅前商店街は閑散とし、シャッター店舗も少なくない。商店街を抜け、参道を歩いても飲食店や土産物屋はまばら。これでは一度訪れたとしても、「もう一度訪れたい場所」にはなりにくいし、近年発達するSNSでも発信しにくい。
 今号で報じた通り、県と桜井市が今月19日、「桜井市大神神社参道周辺地区のまちづくりに関する基本協定」を締結。参道については県が主体的に整備し、参道らしさを感じさせるまちなみの形成、魅力の集約などについては、市と地域住民で今後協議を進めていく。 
 5年前から進められてきた議論がいよいよ形になって動き出した格好で、地域住民の意見なども反映しながら、来年度中に基本計画を策定したい考え。
 今から5年後、東京五輪が開催される平成32年は「日本書紀完成1300年」の記念イヤーにあたり、東京五輪と合わせて多くの外国人観光客が、日本のふるさと・奈良、『古事記』『日本書紀』に登場する大神神社を訪れたいと思う人も多いだろう。
 県と桜井市、地域住民が一体となりまちづくりに関わることで、参道周辺ににぎわいが生まれ、神社と周辺店舗が融合した「三輪版おかげ横丁」に生まれ変わることを願ってやまない。

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