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特殊詐欺被害 「防ぐのは、オレだった」

2015年12月11日

主筆 藤山純一

 その時は突然訪れる。奈良市内に住むY子さん(82)はすでにご主人を亡くし、子どもも大きくなり1人暮らし。ある日の午後、宅配便が届いた。
 30損擁の箱で聞いたこともない送り主。「着払いです」と言われたが、「私はこんなものを注文した覚えがない」と遠慮がちに言うと、宅配業者は「こういうのは危ないから受け取らない方がいい。返送しましょう」と言ってくれた。
 それから数カ月後、今度は封筒のようなものが届いた。着払いでなかったので受け取ったが、不信に思い警察に届けた。警察ではいろいろと事情を聴かれ、その後の対処を任せて帰った。「最初の着払いの品で、業者の人から返送しましょうと言ってもらえなかったらお金を払っていたかもしれない」とY子さん。
 県内と東京に住んでいる子どもたちとは頻繁に連絡し合っており「『オレオレ詐欺』には引っかからない」と言っていたY子さんだったが、「送り付け詐欺」に引っかかりそうになって憤慨しきりだ。
 昨年1年間の全国の特殊詐欺被害総額はなんと約566億円。大和郡山市の特別会計を含む総予算額に匹敵する。県内でも昨年は約4億円、今年も3億円を超えている。その中でも驚くことに今年、5500万円を特殊詐欺で奪われたケースもあった。
 県警によると、今年1月30日ごろ、奈良市の無職女性(82)方に男から「あなたは、ある会社の会員になっている。会員から抜け出すには他の会員を紹介しなければならない。紹介できる人はいるか」との電話。「ない」と断ったところ、再度この男から電話があり、「復興支援団体の会長をしている男性を見つけた。あなたから電話しておいてください」と言われたため、この男性に電話し入会を依頼したという。
 このことを報告するため女性は会社に電話したところ、この会社が販売している商品の説明を受けた。そして団体会長の男性に電話しこの会社の商品のことを話すと購入したいと言ったという。
 その数日後、この会社から電話があり「あなたの名前で商品の購入を申し込んできたが、金を出したのは団体会長の男性でしょう。リベートを取るつもりですか。これは犯罪で、ばれれば刑事事件になります」などと言われた。そして商品取締委員会商品流通検査課や警視庁国際金融取締機構を名乗る男から次々と電話があり「裁判費用がかかる」「言うようにしないと犯罪になる」などと言われ、コンビニの宅配便で「岩塩」や「コーヒー豆」などと書いて現金を送り続けた。
 あまりにも巧妙な手口なので驚くばかりだが、今、インターネットで「高齢者詐欺」と検索すれば、政府広報オンラインで、カンニング竹山さん出演のWEBスペシャルムービーも公開中だ。
 息子が詐欺にひっかかった母親と話し痛感した、そのキーワードは「オレオレ詐欺を防ぐのは、オレだった」「毎日話せば、詐欺は防げる」。いざという時は「#9110」(警察相談専用電話)か「188(いやや!)」(消費者ホットライン)へ。

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