論点

トップ論点一覧 > 論点

グラウンド移転問題 問われる小紫市長の手腕

2016年03月04日

主筆 藤山純一

 先日、香芝市内の小学校に縁あってゲストティチャーとして招かれ、生まれて初めて教べんを執る経験をさせていただいた。大学生時代には塾や家庭教師でアルバイトをしたが、実際に教壇に立ってみると緊張するものである。
 5年生の社会科の授業でテーマは「情報化した社会と私たちの生活」。「新聞社の方に質問しよう」という趣向で初日4クラス、2日目2クラスで授業をさせていただき、新聞の歴史と役割などについて簡単に話した後、子どもたちに私自身を取材し本紙1面で連載中の「新大和の顔」として記事に書くよう求めた。
 子どもたち一人一人が新聞記者になり、恥ずかしながら私の人物紹介をしてもらうという趣向だ。授業時間内に記事を書くことはできないので、後日記事にして提出してもらったが、慣れないせいか6クラスでの授業はなかなか大変だった。子どもと向き合い続けなければならない教師という職業の重みを感じた次第である。
 テレビやインターネットの普及でメディア環境は大きく変化している。ゲーム機に夢中になっている子どもの姿はもう当たり前。携帯電話からスマートフォンに変わり、今では街なかや車中で誰もがのぞきこんでいる。
 今回の授業で驚いたことは「新聞記者」という職業をほとんどの子どもたちが知らなかったことだ。新聞を購読している家庭は意外と多かったが、学級新聞などは作るものの「新聞記者」という職業を認知していない現実は、多メディア化の時代の流れかもしれない。
 新聞や本の活字から自らの考えを巡らせ、行間からにじみ出る思いが豊かで深い人間性を養う。想像力、思考力こそ人としての成長を支える。そんな体験をテレビやインターネットが奪ってしまっていいのだろうか。
 子どもたちの質問の中には「給料はいくらか」「働く時間は」など現実的なものが多く、残念ながら新聞記者の仕事に携わるロマンを十分に語ることができなかった。しかし、後日提出していただいた人物紹介の記事は、取材時間が20分ぐらいだったにもかかわらず、しっかりと書いている子どもが多かったのには驚いた。
 子どもたちには活字に親しむ一方、できるだけ野外でのびのびとスポーツに励んだり遊んだりしてほしいが、どうやらそういった環境づくりも難しいようである。
 生駒市では子どもたちが野球などで親しんできた同市北大和の北大和グラウンドが周辺住民の「騒音苦情」などが原因で移転を余儀なくされた。周辺住宅よりもグラウンドの方が先にあったにもかかわらずだ。それが今度は移転先の同市高山町で訴訟沙汰にまで発展している。
 そもそもなぜ北の端の不便な高山町に市民のグラウンドを移転しなければならなかったのか。子どもたちのスポーツに親しむ声がなぜ「騒音」なのか。これまでも本紙で何度も問うてきた。どちらにしてもこの「グラウンド移転問題」は山下真前市長時代の牋篁梱瓠2魴茲妨けて、昨年4月から新しく市政のかじを取る小紫雅史市長の手腕が問われている。

  • 凛と咲く〜輝く女性たち
  • バックナンバー購入のご案内
  • 会社情報
  • お問い合わせ

ホームニュース論点悠言録

バックナンバー購入会社情報お問い合わせ

当サイトに掲載の記事・写真・図版などの無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権並びに国際条約により保護されています。

Copyright Nara Nichinichi Newspaper