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世界・日本遺産 奈良を文化で元気に!

2016年03月25日

主筆 藤山純一

 文化庁が京都に全面的に移転することが決まった。「政府関係機関の地方への移転は、東京一極集中を是正し、地方創生を進めていくための重要な施策」として安倍晋三首相が強力に進めているもので、消費者庁や総務省統計局も徳島、和歌山両県への移転に向けて、8月末まで実証実験をし可否を判断するという。
 しかしなぜ文化庁の移転先が京都なのか。なぜ奈良ではないのか。ある新聞では「1200年の歴史に彩られた古都に、文化行政の拠点が移る」と報じられているが、なぜ「1300年の歴史に彩られた古都・奈良」ではないのか。効率化や交通の便などが理由らしいが、文化庁などを誘致することにおいて逆に交通の便が整備されることもあり得るのではないか。
 ともかくお役所の都合があると思うが、どちらにしても関西に文化財の指定、保存、活用や芸術活動の支援、国際文化交流の推進などを担う文化庁が移転することになったことは大いに歓迎したい。
 思い起こせば平成15年、今は亡き当時文化庁長官だった河合隼雄さんが「関西元気文化圏構想」を提唱され、「『関西』から日本の社会を『文化力』で元気にしていこう」を合言葉に、経済界やマスコミ、地方公共団体との協働による関西の活性化を訴えた。
 東京・霞が関の文化庁長官室や奈良市内のご自宅で「文化力と経済力の両方が相まって国が栄える。東京一極集中は問題。各地の多様な文化があってこそ、日本全体の元気につながる。文化の多極性こそいちばん健康な姿」と力説されていた。
 また、「各地のいろいろなものを結集して文化を盛んにすれば、自然に経済効果も出てくる」といい、東京一極集中を打破するために「関西元気文化圏構想をぜひ実現したい」と熱い思いを吐露されていた。
 残念ながらその4年後に79歳で逝去されたが、河合さんが文化庁長官になられた時に打ち出された「日本中を文化で元気にしよう」のスローガンは、「祭りを復活してのまちおこし」や「商店街と大学のコラボで文化事業」など、いろんな形で結実している。
 いうまでもなく奈良県は文化財の宝庫である。平成5年12月には世界最古の木造建築を誇る「法隆寺地域の仏教建造物」(斑鳩町)が姫路城とともにわが国で初めて世界遺産に登録された。さらに10年12月には東大寺など奈良市内の社寺仏閣など「古都奈良の文化財」、16年7月には五條市と吉野郡8町村が含まれる「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に認定された。
 そして現在、世界遺産候補として文化庁からユネスコに推薦されている「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」が登録されればまさに奈良県は「まるごと世界遺産」になる。
 さらには明日香、橿原、高取の3市町村の「日本国創生のとき〜飛鳥を翔(かけ)た女性たち〜」が日本遺産に。桜井、天理両市の「『日本麺食文化のルーツ三輪素麺』三輪・山の辺の地」が続きそう。ぜひとも奈良を文化で元気にしてほしいものである。

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