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参院選挙 主権者としての1票を

2016年06月17日

主筆 藤山純一

 現職の米国大統領としては初めて、オバマ大統領が被爆地・広島を訪れて3週間が経った。被爆者を抱えるオバマ氏の姿と広島平和記念資料館(原爆資料館)でオバマ氏がプレゼントした4羽の折り鶴のエピソードは今も記憶に新しい。
 「71年前、明るく、雲一つない晴れ渡った朝、死が空から降り、世界が変わってしまいました。閃光と炎の壁が都市を破壊し、人類が自ら破壊できる手段を手にしたことを示したのです」。
 この言葉から始まるオバマ氏の広島演説は、「数年間で6000万人もの人たち」が亡くなるなど、戦争にあふれている現実を捉え、「私たちはここに、この街の中心に立ち、原子爆弾が投下された瞬間を想像しようと努めます。目にしたものに混乱した子どもたちの恐怖を感じようとします。(中略)戦争で殺されたすべての罪なき人々を思い起こします」と語る。
 そして、国際社会は戦争を回避し、核兵器を縮小し最終的には廃絶するための組織と条約をつくったが、今なお、「国家間のあらゆる攻撃的行動、あらゆるテロ、腐敗、残虐性、抑圧は私たちに仕事の終わりがないことを物語っています」と続く。
 しかし「私の国の物語はシンプルな言葉から始まりました。『すべての人は等しくつくられ、生命、自由、幸福追求を含む、奪われることのない権利を創造者から授けられた』。(中略)すべての人の減らすことのできない価値。すべての命は尊いという主張。私たちはたった一つの人類の一員なのだという根本的で欠かせない考え。これらが、私たち全員が伝えていかなければならない物語なのです。それが、私たちが広島を訪れる理由です」と強調。
 最後に「広島と長崎が『核戦争の夜明け』ではなく、私たちが道徳的に目覚めることの始まりとして知られるような未来なのです」と結んだ。
 70年前、憲法公布の際に日本政府が発表した日本国憲法英文版がある。GHQ草案と異なるもので、海外ではこの英文版が読まれてきた。その英文版を現代語訳した「現代語訳でよむ日本の憲法」(柴田元幸翻訳、アルク)によると、前文はこうなる。
 「私たち日本の人びとは、正しい手続きを経て選ばれた、国会における代表者を通して自分たちの意志を実現する。自分たちのため、子孫のために、私たちはすべての国と平和に手を結ぶことからもたらされる果実を確保し、自由の与えてくれる恵みを、この国の隅々まで広めていく。政府の行動によって戦争の悲惨に引き込まれることが二度とないよう、主権は人びとにあることを、かくして私たちは宣言し、ここにこの憲法を定める(後略)」。
 アベノミクスや安保法制、憲法改正、消費増税、原発問題など多彩な争点を抱えた参院選が22日に公示される。広島でのオバマ大統領の言葉を現実のものとするための行動を求め、自分たちにとって、子孫にとって二度と戦争ない世の中にするために、主権者である「私たち日本の人びと」は1票を投じたいものである。

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