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参院選 18歳選挙権が起爆剤に

2016年07月08日

主筆 藤山純一

 バングラディッシュの首都ダッカで日本人7人を含む20人がテロの銃撃に巻き込まれ死亡するという極めて悲惨で許しがたい事件が起きた。それも犠牲者は国際協力機構(JICA)の関係者ばかりで、バングラディッシュの発展のために取り組んでいる最中の事件。
 県出身でもあるJICAの北岡伸一理事長もまさかの襲撃事件に衝撃を隠せない様子で記者会見。バングラディッシュ政府と進めている円借款の交通インフラ事業の調査のため、現地で滞在していたといい、「強い憤りを覚える。IS(イスラム国)が現れてから2年。ラマダン(断食月)明けの時期なので注意を呼びかけていたのだが」と無念の表情を見せた。
 西欧、中東アジアを中心にテロ事件が絶えない。その要因は宗教問題と考えられているが、一方、貧困や格差拡大など社会構造の急激な変化についていけない若者の存在ではないかとみられている。しかし、今回のテロ事件の犯人の中には、裕福な家庭の出身者もおり、社会とのつながりが希薄になり、家族や友人からも孤立した若者がテロに走ったともみられている。
 ごく平凡な「荒ぶる若者」が社会の貧困に憤りを感じ、過激派に走り、テロ事件を起こしているとしたら、まさに社会的要因であり、その原因は行政の無策といえるのではないか。
 参議院選が大詰めを迎えた。18歳以上に選挙権が拡大され、若者の選挙に対する動向が注目されている。どれだけの若者が投票に行くのか、そして誰に1票を入れるのか、関心は高い。しかし、肝心なことを忘れてはいないか。若者が、突然選挙権を得たからと言って政治意識が高まるとは全く思わない。これまで20歳になっても政治に無関心な人はたくさんいるのが現状だ。
 果たして学校で、家庭で、地域で、先生や先輩、友人、家族、地域の人々と政治や行政について論議したことがあるのか、学習する機会があったのか。データで学ぶだけでなく、いろんな人との対話の中から政治的な関心も高まってくる。そういった機会があったのか、疑問でならない。
 その一方で、私たち中高年者の責任も大きい。「今どきの若者が」という先入観にとらわれるのではなく、国や地方が抱える課題について、積極的に若者と論議しているか。若者の意見や考えに耳を傾けているか、胸に手を置いて考えてみるべきだろう。 
 総務省の調べによると、残念ながら喫緊の衆参選挙の20歳代の投票率はいずれも30%強。全体で50%強の中で3人のうち1人しか投票していない。平成元年ごろの20歳代の投票率が47〜57%だったことから考えると、この30年近くで、若者の政治離れが急速に進んだと言えよう。
 民主党政権が誕生し崩壊していったこの10年。自民党の選挙での得票数はほぼ変わらない現状を考えると、旧態依然とした「20世紀型」政党や組織からの脱却こそ、この悪循環から逃れる唯一の道ではないだろうか。
 今回の18歳以上の選挙権がこの起爆剤となることを、切に願いたい。

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