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増える教師の犯罪 教師としての誇りを

2016年09月16日

記者 梶田智規

 リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得した「タカマツペア」の高橋礼華選手の地元・橿原市で行われた凱旋パレードと祝賀会の取材を終えた10日夜、帰宅してテレビをつけると、広島カープの緒方孝市監督が宙を舞っていた。25年ぶり7回目のリーグ優勝を成し遂げ、黒田博樹投手や新井貴浩選手らが男泣きする姿は、虎党であっても胸を打つものがあった。
 黒田投手は平成26年オフにメジャーの高額オファーを蹴って古巣の広島と契約。その契約金は約5分の1といわれている。金ではなく、自分を育ててくれた球団への恩義と、優勝を心待ちにするファンの願いに応えたその「男気」を賞賛する声が数多く聞かれた。
 評論家らは、広島が優勝を果たした要因の1つに「ベテランと若手の融合」を挙げる。黒田投手や新井選手らの経験に基づいた指摘、試合や練習に取り組む姿勢を見て、今年の流行語大賞が噂されている「神ってる」で有名となった鈴木誠也選手ら若手が育ち、チームに大きな勢いを与えた。
 明るく、感動的なニュースが報道される一方で、政治家の政務活動費の不正請求や教師による盗撮、わいせつ行為など「先生」と呼ばれる人間の不祥事が後を絶たない。彼らの謝罪コメントなどを聞くと、自分の立場を全く理解せずに、自分本位で軽々しく悪事に手を染めている印象を受け、不快でならない。
 教師の犯罪は増加傾向にあり、県内でも昨年4月から今年8月末までで懲戒免職となった公立学校教員は12人にも上る。なかでもわいせつ事案が6件と半数を占め、自分の命よりも大切な子どもを預けている保護者からすれば、味方であるはずの教師が敵に見えてしまっても無理はない。これら一部の心ない教師の軽率な行動が、子どもたちのために日々努力している教師たちの自由を奪い、教育現場はさらに締め付けられ、負のスパイラルに陥る。
 小学生の頃、学年のリーダー的存在の人物とけんかし、1カ月近くその周囲の友達に無視されたことがあった。昼休みのサッカーやドッジボールにも混ぜてもらえず、1人で本を読むなどして過ごした。プライドか、もしくは心配をかけてはいけないという思いからか、親にも話せず、学校への足取りも重くなった。狭い世界で生きる小学生にとって、それは光の当たらない暗闇に取り残されたような感覚で、すごくつらかったのを覚えている。
 そんな状況を察した担任の先生は、優しく声をかけ、いきさつを説明すると、自然に仲直りできるように働きかけてくれた。暗闇から救い出してくれた先生はまさしく「神」だった。
 時代の変化と共に、子どもや保護者、教育の多様化が進み、教師が抱えるストレスは我々の想像をはるかに超えるのかもしれない。家族も顧みずに努力した成果は報われず、忙しい毎日に追われ、理想と現実のギャップにすべてを投げ出したくなるときもあるに違いない。ただ、それでも教師たちは「男気」を貫き、子どもたちにとって「神ってる」存在であってほしいと願ってやまない。

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