論点

トップ論点一覧 > 論点

根強い男女差別 古い労務体質脱却を

2016年11月04日

主筆 藤山純一

 広告大手、電通の女性新入社員(24)が昨年末に自殺した。今年9月30日には、労働基準監督署がこの女性が自殺したのは過労が原因であると判断、労災を認めた。「月100時間」を超える残業が続き、勤務時間は連続19時間や長い時で53時間に及んだという。
 これはまさに過重労働で、この女性でなくてもうつ病になるのは当たり前だ。電通は労使協定で月間の時間外労働時間を最長70時間と取り決めているにもかかわらず、同社は社員らに月70時間を超える残業労働時間集計表に記載しないように指導していたという。
 しかし今回の女性社員が自殺に至った要因はそれだけではない。自身のツイッターには「休日返上で作成した資料をボロクソに言われた。体も心もズタズタ」「男性上司から女子力がないと言われる」、また「君の残業時間の20時間は会社にとって無駄」などと上司からパワハラ発言を繰り返されていた様子も書いていたという。
 このようなあまりにも悲痛な叫びを発信していたにもかかわらず、なぜ家族や友人、同僚らが気づいてあげられなかったのか、疑問でならないのと同時に、今回の女性社員の死は過重労働以外に度重なるパワハラ、セクハラが背後にあったことは十二分に予想できる。そして何よりも若い女性社員が泣き寝入りせざるを得ない古い労務体質こそ問題ではないか。
 世界経済フォーラム(WEF)が10月26日に発表した世界の国々の男女格差「ジェンダー・ギャップ指数」によると、日本の男女平等ランキングは、世界144カ国中、111位で過去最低レベルとなった。世界各国の男女平等の度合いを数値化し順位を決めるもので、日本は主要7カ国(G7)の中でも最下位。前年の101位より順位を下げた。 
 評価の低い原因として、経済と政治の分野における女性の進出が著しく遅れていることだと指摘。例えば「国会議員における男女比率」122位、「官民の高位職における女性比率」113位、「女性の専門的技術的労働者の比率」101位となっているほか、さらに女性の首相が出ていないことも低評価の一因とされているという。
 また、「教育」76位や「健康と生存率」40位に比べ、「経済活動への参加と機会」は118位。日本の男女平等はまだまだ遅れている実情が浮き彫りにされた。
 時代の変遷に伴い、社会で働いている女性にとって、昔に比べ少しは待遇が良くなったとはいえ、今もなお、いろんな場面での差別を肌身で感じているのではないだろうか。
 家庭での差別も見逃せない。自戒を込めて記すが、夫婦がフルタイムで働いていても「家事と育児は女の仕事」、男はどうしても「手伝っている」という意識が抜けない。若い世代では少しずつこういった意識は薄らいでいるようだが、社会全体ではこういった意識が蔓延(まんえん)している。
 こうした男女差別意識が底辺に流れる古い労務体質からの脱却こそ女性活躍社会実現の近道ではないだろうか。

  • 10月5日付新聞の事前予約はコチラ
  • 奈良日日新聞社は「Sport for Tomorrow コンソーシアム」の会員です。
  • LINE@で情報発信中!!
  • 凛と咲く〜輝く女性たち
  • 広告のご案内
  • 購読・購入のお申込み
  • 会社情報


ホームニュース紙面内容紹介論点悠言録

購読のお申し込みバックナンバー購入のご案内広告のご案内会社情報個人情報保護

当サイトに掲載の記事・写真・図版などの無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権並びに国際条約により保護されています。

Copyright Nara Nichinichi Newspaper