悠言録

トップ悠言録一覧 > 悠言録

[2016年11月25日]

 「国は被災地に寄り添うといいながらルールを変えようとしない。これでは復興、復旧は進まない」―。東日本大震災から5年8カ月が過ぎたが、街全体が壊滅状態となった岩手県陸前高田市の戸羽太市長はこう訴える▼18、19日の両日、新生奈良研究会陸前高田市視察研修会で会員の皆さんとともに同市を訪れた。土盛りされた広大な土地が眼前に現れ、今も重機の音が響く状況を目の当たりにして「これが復興の現状なのか」とあぜんとしてしまった▼戸羽市長は一刻も早い復旧に取り組む同市に対して立ちはだかる現行法制や縦割り行政に「腹が立つというより、日本人をやめようという気持ちになる」と忸怩(じくじ)たる思いを吐露▼「権限、予算を国から県、県から市町村に降ろすべき」と強調し、「交流人口を増やし経済の支えにする、防災意識を高めるため被災地の一部を公園化、障がい者、高齢者が他の人たちと等しく生きるノーマライゼーション社会の実現を」と熱く語る▼交流人口を増やし市の活性化のため各種研修などを受け入れているマルゴト陸前高田の伊藤雅人理事は言う。「海岸に作られた防潮堤は津波を防ぐものではない。津波から逃れるための時間稼ぎに造られたものだ」と▼日本全国、絶対安全であるという地域はない。防災意識はもちろん、被災地に寄り添うため何をするべきか。私たちも人ごとではない。(純)

  • 凛と咲く〜輝く女性たち
  • バックナンバー購入のご案内
  • 会社情報
  • お問い合わせ

ホームニュース論点悠言録

バックナンバー購入会社情報お問い合わせ

当サイトに掲載の記事・写真・図版などの無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権並びに国際条約により保護されています。

Copyright Nara Nichinichi Newspaper