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観光立県としての発展 奈良を語り継ごう

2017年01月13日

主筆 藤山純一

 平成27年の県を訪れた観光客数は、平城遷都1300年祭が開催された平成22年の4464万人に次ぎ、県が記録を始めて以来、2番目に多い4146万人となった。前年に比較しても335万人(8・8%)増加し、大きなにぎわいを見せている。
 県は東京オリンピックの前年の31年には4200万人の観光客数を目標にしており、これに迫る勢いだ。観光消費額も前年より17・4%増え、過去最多額になったという。
 ただ課題は南北格差だ。エリア別観光客数をみると、奈良市・生駒市などの県北部が26%増の一人勝ち。大和郡山市・斑鳩町・王寺町など16市町の県西部は0・9%増、橿原市・桜井市・明日香村など8市町村の県東部は1・4%増。五條市・吉野郡11町村の県南部に至ってはマイナス2・1%だ。
 更なる課題は、宿泊者数の少なさだ。27年の延べ宿泊者数は255万人で前年に比べ28万人(12・4%)増えたとはいえ、観光客数の6・1%に過ぎない。お隣の京都と比較すると、27年の観光客数は、奈良県の2・1倍の8748万人。うち宿泊者数は1543万人で17・6%に及ぶ。
 県発表の1人当たりの観光消費額を比べると、日帰り客が4346円に対して宿泊客は2万5683円。宿泊客は日帰り客に比べ6倍のお金を落としてくれるのである。とにかく奈良県観光の課題は南北格差の解消と宿泊客をいかに増やすかに絞られよう。この連動する大きな2つの課題を解決するには、県南北はもちろん、県全体の観光ネットワークの構築と宿泊施設誘致に他ならない。
 宿泊施設誘致については、世界最高級のJWマリオットホテル奈良が県営プール跡地に来ることや明日香村への星野リゾート進出で、全国、世界に奈良の観光地としての存在価値が高まっており、受け入れ態勢を整えることで今後、宿泊施設誘致は加速すると言えよう。
 ただ問題は、県全体の観光ネットワークの構築である。奈良市内に訪れた観光客をいかに県中南部に誘致するか。それには県内を循環する「JR奈良環状線」や「観光バス路線」の設置が必要だろう。このために行政や業界団体、企業、各交通機関が、一体となってその実現に向けて取り組むべきではないか。
 そしてもう一つ、忘れてはならないのが、観光客を迎える私たち県民が奈良を誇りに思い、語ることができるかどうかだ。ふるさとの歴史を知り、その良さを語り継いでいくことは、この奈良の地を豊かにし、栄えていくことにつながる。
 昨年、明治時代に一世を風靡(ふうび)した『鉄道唱歌』の奈良県版ともいえる『大和鉄道唱歌』が約100年ぶりに復活した。大和鉄道の最初の営業路線として新王寺―田原本間が開業した際にできたもので、42番まであり、沿線の「信貴の山」や「大和川」「法隆寺」などが歌われている。
 これを受けて、田原本町の森章浩町長は「町内の中学生らによる『現代の鉄道唱歌』を作りたい」と意欲を燃やしており、ぜひとも実現していただきたいものである。

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