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ギャンブル依存からの回復 新たな犁鐓貊雖瓩

2017年01月20日

記者 澤口 直

 『カラマーゾフの兄弟』や『罪と罰』などで知られるロシアの文豪、フョードル・ドストエフスキー(1821〜1882)は博徒だった。それもとことん賭ける熱狂的なもの。慢性的な借金に苦しんでいたが返済のため、急き立てられるように執筆。数々の傑作はギャンブルと借金のたまものかもしれない。ルーレットで破滅する登場人物らを描いた作品『賭博者』の一節にこんなセリフがある。「なんて腹の立つこったろう!人間一人、破滅しちまうなんて。つまり、自分が望んだってわけさ」。
 ギャンブルを題材にした作品は多く、阿佐田哲也の『麻雀放浪記』も有名。漫画では福元伸行の『カイジ』シリーズもヒットした。ギャンブルにはそれだけ人を引きつけてやまない猖睥廊瓩あるのか。無頼的な生き方も理屈を超えた魅力がある。
 ここまで書いたが筆者はギャンブルを礼賛する立場ではない。私自身かつてパチンコ店で、多い時は1日10万円使ったこともある。当時の店はいわゆる「高射幸性」の台が今より横行し牋貳逆転瓩鯀世Φ劼任△佞譟△泙襪播寛仂譴里茲Δ癖薫狼い世辰拭N戮忘造辰討い臣翡男性が涙を流し、財布から1万円札を抜いていく姿は忘れられない。
 今回のテーマは「ギャンブル依存症」。ギャンブルを自分でコントロールできず借金など問題を抱えた状態だ。言葉自体は昔からあったが、IR法案の議論が加熱した昨年から一気に注目されはじめたように思う。
 そんなギャンブル依存症からの回復支援に取り組む施設「セレニティパークジャパン」はギャンブルの存在そのものには中立の立場だ。同施設のスタッフは言う。「仮にギャンブルがなくなったとしても依存症の根本的な解決にはならない。それどころか闇カジノのような違法賭博が増え、より深刻な依存症を生む可能性もある」。
 また「必ずしもカジノが要因で依存症は増えないと思う。行くのは既存のギャンブル層では」。カジノの是非よりも、法案成立を契機にギャンブル依存症を多くの人に知ってもらう機会にしたい。依存を知ることは予防にもつながる。
 ギャンブルをする多数は「娯楽」として、日常では味わえない勝ち負けの楽しさを享受する。しかし、依存症まで進むと制御できない。多くの依存者は人付き合いも疎遠になりがちで学業、仕事もうまくいかない。なぜそこまでのめりこむのか。1つの要因はギャンブルが孤立した人たちの犁鐓貊雖瓩箸覆辰討い襪らだ。何らかの理由で「生きづらさ」を抱えて過ごしてきた人は、それから逃れるために依存してしまう。ギャンブルの狄譴き瓩らさめると嫌な現実に引き戻される。現実を避けるためにまたギャンブルへ―。
 ワンネスグループでダイバージョンセンター長を務める菅原直美弁護士は、依存症で苦しむ本人や家族を司法の側からサポートする。「ギャンブルは薬物やアルコール依存と違い、借金、離婚など問題が深刻化しないと表に出にくい」と菅原弁護士。予防のためには、ギャンブル依存症の認知や、依存一歩手前の人に対する適切なカウンセリングが必要だ。

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