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花街のにぎわい 問われる奈良市の対応

2017年02月10日

主筆 藤山純一

 「泊まる理由がないから泊まらない」ー。近鉄ホールディングス取締役相談役の山口昌紀氏は奈良での観光宿泊者が極めて少ないことに対してこう厳しく指摘する。
 さらに再掲になるが、奈良日日新聞社発行の山口氏の自伝「奈良に育まれ電車にのって青山をみる」(廣済堂出版)で、奈良観光の宿泊者が少ないのは「奈良に猝覘瓩ないからである。なぜ観光客が夜に遊ぶことができる所をつくらないのか。たとえば奈良の花街、元林院だが、なくなってしまえばそれこそ古都の風情でお酒を飲むところがなくなる」と憂う。
 そして「毎週土曜にでも猿沢池周辺で大々的な催しを行ってはどうだろうか。縁日の屋台でも出れば小銭が落ちる。そのお金が大きくなり経済が回る。それが祭りだ。奈良市が補助金を出してでもテコ入れし、大正から昭和にかけて全盛期だった花街のにぎわいを取り戻していただきたい」と提言する。
 年間約8700万人の観光客が訪れ、そのうち20%近くの約1500万人が宿泊する京都には、芸妓や舞妓が舞・踊りをはじめとした数々の伝統技芸により、心のこもったおもてなしをする文化が連綿と受け継がれている。その京都の伝統文化が大切に守り続けられているまちが「花街(かがい)」であり、祇園甲部、宮川町、先斗町、上七軒、祇園東の5花街に及ぶ。
 京都市では平成25年度に「京都をつなぐ無形文化遺産」制度を創設し、「京・花街の文化〜今も息づく伝統技芸とおもてなし〜」を選定。5花街のPRパンフの作成や市内在住、通学している小中学生とその保護者を対象に「『京・花街の文化』こども観賞会」を開催するなど、市挙げて花街の振興に取り組んでいる。
 着物姿で執務することで知られる門川大作市長も市のホームページに「『京・花街の文化』には、京都の伝統文化やものづくり、おもてなしの魅力が凝縮されている。京都ならではの文化の価値を市民の皆さまと共有し、いきいきと光り輝き続ける花街を誇りにしたい」と記し、まさに先頭に立ち旗振り役に徹している。
 一方、奈良元林院のある奈良市はどうか。今月25、26日に開催される「第2回ならまち花あかり〜全国花街技芸まつり〜」では、26日に行われる「全国花街伝統芸能シンポジウム」には共催し、仲川元庸市長がパネラーとして登場する程度。
 奈良市観光協会もならまち花あかりの各種イベントのチケット販売などを行うものの、全体の運営は菊乃さんを中心とするプロジェクトチームが取り仕切っているのが現状だ。
 平成26年5月に仲川市長の肝いりで有識者による「元林院の復興と猿沢池周辺地区の夜の観光を考える懇話会」を設けたが、これまで1回開催しただけ。京都市の例を挙げるまでもないが、機運が高まっている中、今こそ奈良市が全面的に元林院復興に乗り出すべきではないか。
 今春には元林院に県出身者1人を含む3人の舞子さんが誕生するという。古都・奈良のにぎわいを何としても取り戻したいものである。

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