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太子道を日本遺産に 聖徳太子の名を後世に

2017年02月17日

記者 梶田智規

 任期満了に伴う王寺町長選挙は14日告示され、現職の平井康之氏が同選挙では33年ぶりとなる無投票で再選。平井氏は当選確定後の記者のインタビューで、「無投票は4年間の成果を評価していただいたご褒美」と笑顔を見せたが、その雰囲気からは、すでに2期目の4年間で何をすべきか考えを巡らせているような印象を受けた。
 平井氏は前回選挙で現職を破り初当選。「住民満足度を県内トップに」と意気込み、元県職員として文化観光課長や議会事務局長を務めた経験と人脈を生かして、国道168号の拡幅など町民の生活に直結する課題に積極的に取り組み、信頼を得ていった。
 また、平井氏は町商工会のゆるキャラで聖徳太子の愛犬をモチーフにした「雪丸」を町の公式マスコットに起用し、観光大使に任命。全国区の人気ゆるキャラに押し上げて、町民の地元愛を深め、町の歴史や文化を内外にPRし、再認識させた功績も大きい。
 先日、公開された町のPR動画「雪丸散歩」では、雪丸がドローンになって達磨寺や明神山など町の名所を空中散歩。斬新でインパクトのある動画として注目を浴びている。本紙の元旦号で毎年実施している「県内ゆるキャラ大集合&大投票」でも雪丸は4連覇を成し遂げ、不動の王者に君臨している。
 独自の手法で住民の町への愛着を深めてきた平井氏が会長を務める「太子道日本遺産認定推進協議会」は今月2日、斑鳩から飛鳥、磯長へと、聖徳太子の風景をたどることができる「太子道」を日本遺産に申請。4月中旬の審査委員会を経て、県内3カ所目となる日本遺産認定を目指している。
 聖徳太子といえば、旧1万円札に肖像画が描かれ、「一度に10人の話を同時に聞き分けた」など、1400年の時を経てなお、その超人的エピソードが語り継がれている有名人。冠位十二階を制定し、十七条憲法を発布するなど、天皇を中心とした中央集権国家体制の確立を図った飛鳥時代の中心的政治家、思想家である。しかし近年、「聖徳太子は存在しなかった」という学説が唱えられ、教科書でも「厩戸王(聖徳太子)」というかっこ付きの表記に変わってきている。
 「厩戸王」は実在したが、それが「聖徳太子」の活躍を実際にしたのかという点を疑問視する声が挙がっている。当時の資料を検証すると、厩戸王が十七条憲法や冠位十二階に確実に関与した証拠はないという。天武天皇が、ライバルである有力豪族に対し、神代から続く自らの血筋の優秀性や正統性を再認識させようと、厩戸王が存在した時代に行われた数々の施策のすべてに関与した「聖徳太子」をつくり上げたという説もある。
 聖徳太子の偉業やエピソードは、ある程度誇張されているのかもしれない。しかし、日本のスーパースターとして長く語り継がれてきた愛着ある人物が、教科書から消え、後世に語り継がれなくなるのはあまりにも寂しい。聖徳太子の名がこの世から消えないためにも、「太子道」が日本遺産として認定されることを願いたい。

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
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