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開かずの踏切解消へ 官民連携でまちづくり

2017年02月24日

記者 澤口 直

 「開かずの踏切」はピーク時の遮断時間が1時間あたり40分間以上と定義されている。電車が通り過ぎたかと思えば逆方向からまた電車、そして別の電車が続けざまに…。
 カンカンカンと鳴りやまない音は急ぐ人の心を焦らせる。待ち時間に程度の差はあれど、多くの人が開かない踏切にイライラした経験はあるだろう。渋滞を引き起こす一因でもあり、事故を誘発する可能性もある。
 わが国の鉄道の起こりは明治5年に新橋〜横浜間の開通に始まり、経済成長と共に路線、踏切は増えた。しかし、昭和36年の踏切道改良促進法の施行に伴い踏切数は減少し、現在は安全性が問題となっている。駅に近い遮断時間の長い踏切では歩行者のくぐり抜けなどが発生し事故につながりかねない。
 1面で取り上げた近鉄大和西大寺駅周辺にある3カ所の開かずの踏切は地域住民の悩みだ。同駅の整備に向けた議論は昔からあったが、今年1月の定例記者会見で荒井正吾知事が「世界でトップクラスの最難関駅」と指摘するように、今こそ本腰を入れ解消を目指してほしい。
 同駅は1日の乗降客数4万6530人(平成27年11月10日近鉄調べ)を誇る。奈良線、橿原線、京都線が直接交差する県内有数の交通の要衝だ。駅北側にはならファミリー、金融機関、飲食店、塾・予備校など多くの施設が集積し、狭い歩道を人々が窮屈に行き交う。
 開かずの踏切の解消ではないが、昨年11月、奈良市と近鉄は同駅整備などに関わる協定を結んだ。これにより猜断瓩気譴討い娠愼酲未魴襪嵎盥埃埓賤冂模が整備され、同駅改良に向けた動きは一歩前進した。 
 同駅から平城宮跡を突き抜ける奈良線の大宮通り移設も活発化している。車窓から望む平城宮跡の眺めは素晴らしく、旅行者がカメラで撮影するシーンはたびたび目にする。県が22年に実施したアンケート調査でも「車窓から平城宮跡が見えることにより奈良らしさ」を感じるなど、肯定的な意見が県内外から多数寄せられた。 
 しかし、一方で「平城宮跡に線路が存在するのはふさわしくない」「電車が通過する景観が見苦しい」「架線や鉄塔などの建造物が見苦しい」といった意見は県外で約28%、県内で約20%あった。大きな数字の差はないが、県外者の方が今の奈良線に違和感を抱いているのは興味深い。移設案を協議するにあたっては外からの視点も重要だろう。
 近鉄大和西大寺駅の開かずの踏切解消と、奈良線の大宮通り移設は一体化で進む。奈良公園周辺は文化・歴史資産が集積し、多くの観光客でにぎわう。それに比べると平城宮跡は世界遺産にもかかわらず知名度は低く、国営公園化で観光促進を図りたい。
 移設した場合に生じる周辺環境や埋蔵文化財などへの影響の調査が進められるが、観光都市・奈良のあり方を左右するビッグプロジェクトだけに着工には長い年月を要するだろう。奈良の持つ歴史やポテンシャルは県民が思う以上に、県外の観光客には魅力的だ。県、奈良市、近鉄の3者が連携し、未来を見据えたまちづくりを協議してほしい。

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
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