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子どもの貧困 豊かな心を持つ子どもに

2017年03月03日

論説委員 黒田高弘

 「第89回アカデミー賞」授賞式が2月26日(現地時間)に行われ、作品賞に『ムーンライト』が選ばれた。マイアミの貧困地域で生活する若者の人生を描いた作品で、米国タイム誌が選ぶ2016年の映画第1位に輝いた。
 麻薬常習者の母からの育児放棄、学校ではいじめを受けるなど、孤独な少年時代を送る主人公。貧困地域で育ち、人権問題や同性愛などに直面する、全米のリアルな社会問題を描写し注目を集めた。
 日本でも子どもの貧困をテーマにした映画として昨年、日雇い労働者の街・大阪市西成区釜ヶ崎で38年間続く子どもたちの集いの場「こどもの里」を記録した『さとにきたらええやん』が製作された。
 「あいりん地区」とも呼ばれ、日雇い労働者らが集う国内最大規模の街。労働者向けの簡易宿泊所が軒を連ね、高度経済成長期にはたびたび暴動が発生するなど、治安の悪いイメージがあった。長年、建設現場などに働き手を送り出してきたが、昨今では労働者の高齢化、路上生活者や生活保護受給にまつわる問題など、さまざまな課題が山積みとなっている。
 爐気鉢瓩噺討个譴襦峪劼匹發領ぁ廚任錬亜20歳までの子どもを、障がいの有無や国籍の区別なく無料で受け入れている。学校帰りに遊びに来る子どもや一時的に宿泊する子ども、さまざまな事情から親元を離れている子どもだけでなく、子どもの親たちも休息できる場として、それぞれの家庭に寄り添う貴重な地域の集いの場となっており、子どもたちにとって大切な犁鐓貊雖瓩箸覆辰討い襦
 内閣府が公表した平成27年版子供・若者白書によると、日本の子どもの相対的貧困率は16・3%、6人に1人が貧困に苦しんでいるという。貧困には2つあり、1つは絶対的貧困で、もう1つが相対的貧困とされる。
 絶対的貧困は、生命を維持するために最低限な必要な衣食住が満ち足りていない状況のことを指し、映画『ムーンライト』の世界がこれにあたり、一方の相対的貧困は、その地域や社会において「普通」とされる生活を享受することができない状態のことをいう。OECD(経済協力開発機構)の基準に照らすと「4人世帯の可処分所得が250万円未満」にあたるとされている。
 この相対的貧困は周囲からは非常に見えにくい。犖栄を張る瓩任呂覆い、貧困であえぐ姿をあまり周囲には見せたくないのが、大人である。法政大の湯浅教授も指摘しているが、「貧困は子どもの責任ではない」。貧困の連鎖による、差別やいじめ、児童虐待は決してあってはならない。
 今号でも紹介したとおり、「子ども食堂」や「おてらおやつクラブ」など近年は、貧困家庭などに対する支援の輪が広がりをみせている。紹介した2つの映画は、懸命に成長する子どもたちの姿を描いている。
 さまざまな生活環境により、貧困からの脱却は一筋縄ではいかない面もあるが、せめて心は豊かであってほしいし、これからもサポートしていかなければならない。

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