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開かれない市政 失われる市民の信頼

2017年03月17日

記者 梶田智規

 この時期になると、私立の高校や大学の卒業式を取材させてもらうことが多い。答辞などで涙ながらに保護者や恩師への感謝、今後の決意などを語る卒業生の姿を見ると、自分を見つめ直すいい機会にもなる。
 卒業式の主役はもちろん卒業生だが、その人生の門出を迎えた主役たちに送る、理事長や校長らのはなむけの言葉も興味深い。長く教育に携わってきた学校のトップが、最後に子どもたちに何を伝えるのか、毎回注目して耳を傾ける。
 こういった場面では、著名人の名言や本の一節などがよく引用されるが、ある女子大の学長が、AKB48の「365日の紙飛行機」の歌詞の一節を解説し、激励の言葉に代えたのは特に印象深かった。多くの人生経験を積み、ある程度の地位や名誉を手にすれば、難しい言葉や上からの物言いになりがちだが、若者の目線に合わせて興味を引き、これから社会に出る際の心構えなどを伝授するその学長の姿勢に感心させられた。
 そして、このシーンで皆が口をそろえて言うのが「周囲に信用、信頼される人になってほしい」という言葉だ。その心構えとして、「あいさつをしっかりする」や「感謝の気持ちを忘れない」など、それぞれの持論が展開される。
 そのなかで、ある大学の学長が「行動と言葉と気持ちの3つを整えてほしい。これが矛盾してしまうと、人から信頼、信用されない人間になってしまう」と力説した。学生の立場でもそうだが、社会ではより一層、信頼や信用を一度失うと取り戻すのは容易ではない。
 生駒市行政経営会議の会議録の開示を求めた情報公開請求で、市は「議事内容の記録は職員の個人的な備忘録」として文書不存在としたが、「市情報公開および個人情報保護審査会」で違法と認定された。小紫雅史生駒市長はこれを受け、3月議会で「重く受け止めなければならない」としたが、その一方で、「議事録を作る必要はないと考えている」と発言。
 新年度の市政方針では、「市民が主役となってつくる、参画と協働のまち」への取り組みを掲げ、市民を「お客さま」ではなく「パートナー」として信頼関係を築いていくとしているが、これこそ「行動と言葉と気持ちが整っていない」のわかりやすい悪い例だ。
 さらに生駒市は、学研高山第2工区のまちづくり検討有識者懇談会のメンバーに公募市民は加えず、内容も非公開。明らかに市民を「パートナー」として見ていないその行動と言葉の矛盾に、小紫市長は気付いていないのだろうか。それとも、市民と共に市政を進める気など元からなかったのか。いずれにしても、このまま牾かれない市政瓩鯊海韻襪里任△譴弌∋毀韻了堋垢紡个垢訖頼や信用は失われていく。
 平成27年4月、県知事選出馬のため辞職した山下真前市長の後継者として無所属で市長選に出馬し、初当選を果たした小紫市長。市の発展を願い、1票を投じた市民への「感謝の気持ち」を忘れているのであれば、もう一度学生に戻ってやり直すべきだ。

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
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