論点

トップ論点一覧 > 論点

否定された教育勅語 許さぬ戦争への道

2017年04月07日

主筆 藤山純一

 「朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆ヲ一ニシテ世々厥ノ美ヲ濟セルハ此レ我カ圀體ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス」―。
 戦前、戦中に道徳や教育の基本方針とされた「教育勅語」の出だし部分である。言うまでもなく、教育勅語は明治23年10月30日、明治天皇が、君主に奉仕する臣民の教えとして示したものだ。
 当時の文部省図書局の「全文通釈」によると「朕(ちん)がおもうに、わがご先祖の方々が国をおはじめになったことは極めて広遠であり、徳をお立てになったことは極めて深く厚くあらせられ、また、わが臣民はよく忠にはげみよく孝をつくし、国中のすべての者が皆心を一つにして代々美風をつくりあげて来た。これはわが国柄の精髄であって、教育の基づくところもまた実にここにある」となる。
 朕とはもちろん明治天皇であり、皇室が国を始めて国民が忠義を尽くしてきたことは立派なことで、そこに教育の根源があるという。
 さらに教育勅語は、親孝行や兄弟、夫婦が仲良くすること、公共の利益に寄与することや法の順守などを説いた後、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺風ヲ顕彰スルニ足ラン」と続く。
 すなわち「万一危急の大事が起こったならば、大義に基づいて勇気をふるい一身をささげて皇室国家のためにつくせ。かくして神勅のまにまに天地とともに窮(きわま)りなき宝祚(あまつひつぎ)の御栄(みさかえ)をたすけ奉れ。かやうにすることは、ただに朕に対して忠良な臣民であるばかりでなく、それがとりもなおさず、汝らの祖先の残した美風をはっきりあらわすことになる」という。
 危急の事態が生じたら皇室国家のために身をささげ、永遠に続く皇室の運命を助けなさい。それがあなたがたの祖先のためにもなる、と説く。そして学校で紀元節などの儀式のときに校長が奉読し、天皇、皇后の写真とともに神格化され、軍国主義の道を歩んで行った。
 戦後、日本国憲法が公布され、昭和23年6月には衆参両院で教育勅語の排除・失効の確認が決議された。すなわち、教育勅語は「根本的理念が主権在君並びに神話的国体観に基づいている事実は、明らかに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑点を残すもの」(衆議院決議)と断じ、「全国民が一致して教育基本法の明示する新教育理念の普及徹底に努力をいたすべきことを期する」(参議院決議)としたのである。
 このような教育勅語が国会でにわかに浮上してきているのはなぜなのか。今、教育勅語の本質を見極め、二度と過ちを犯してはいけない。
 今年度の県予算でも教育費は一般会計の中で4分の1近くを占める。将来のわが国を担う若者への教育ほど重要なものはない。できれば教育予算のさらなる増額を望みたいが、国で教育理念をめぐって揺れているようではどうしようもない。

  • 新生奈良研究会 新年度総会・記念講演会 ビジター参加募集
  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
  • 応援しよう地元の バンビシャス奈良×奈良日日新聞 奈良日日新聞はチーム準オフィシャルメディアです
  • 奈良日日新聞 購読・購入のお申込み
  • 広告のご案内
  • 奈良日日新聞 会社情報


  • ならにちホームページガイド
  • つぶやきで奈良をもっと楽しくしよう!ツイ奈良交流会

ホームニュース紙面内容紹介論点悠言録

購読のお申し込みバックナンバー購入のご案内広告のご案内会社情報個人情報保護

当サイトに掲載の記事・写真・図版などの無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権並びに国際条約により保護されています。

Copyright Nara Nichinichi Newspaper