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自治会費横領 「真の地域の絆」を

2017年04月14日

記者 梶田智規

 奈良市都祁馬場町自治会の前副会長が自治会費約1850万円を横領していたことが明らかになった。取材をしていると、住民から「まさかあの人がこんな大金を使い込むなんて」との思いがひしひしと伝わってきた。この問題が起きた一番の原因は無論、本人の倫理観の欠如だが、小さなコミュニティーの中で生まれた「しがらみ」や、間違った形の「信頼」が自治会のずさんすぎる管理体制を構築し、前副会長の心をむしばんでいったとも言える。
 「まさかあの人が」と話す住民がいる一方で、取材をしていると前副会長の悪い噂も耳にした。それでも、「まさか横領するとまでは想像がつかなかった」と肩を落とす。新聞やテレビでは政治家などが公費を横領する事件が数多く報道されているが、緑が広がる平和な田舎町の住民にとって牴N劉瓩箸い行為は、どこか現実味がなかったのかもしれない。
 そしてもう1つ大きな問題は、会長、副会長、前会長が横領を知ってから住民に報告するまでに約9カ月を要したということ。約1850万円という大金が使い込まれたのであれば、たとえ知人、友人、もっと言えば親類であっても、「必ず返済するので住民には報告しないでほしい」との言葉に従ってはいけない。
 さらに前副会長は返済日を繰り返し先延ばししており、住民に報告する機会は何度もあったはず。この3人には直接話を聞くことができなかったので真意はわからないが、住民が言う「ことを荒立てるのが嫌だったのでは」との理由もあるだろうが、おそらく狆隲瓩はたらいて黙っていたのではないかと推測される。
 しかし、もし今回の一件が住民らに知られることなくやり過ごせていたならば、現在のずさんな管理体制が見直されることはなく、近い将来さらに大きな問題となって住民を苦しめたかもしれない。「信頼」だけで自治会を運営していくことは難しい。一時の情に流された3人の判断は、大きな間違いだったと言わざるを得ないだろう。
 また、住民にとって大切な自治会費、しかも1850万円という大金が使い込まれ、さらに役員らがそれを黙っていたにもかかわらず、みんなの前で怒りをあらわにしたのはほんの数人しかいなかったという。住民の一人は「田舎の悪い部分が出た」と嘆いた。
 最近では年々人間関係の希薄化が進み、近所付き合いなども減って地域の絆や郷土愛などがどんどん薄まっている。そんな中、国は東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げようと「地方創生」を掲げた。現在、各自治体はさまざまな施策を練り、地域を盛り上げるために汗をかいている。
 今回の横領問題は、田舎の人間関係の深さが爐△性瓩砲覆辰燭箸發い┐襦I埓桔瓢澆里燭瓩鵬餬彜萄彩鬚鯒曚垢襪覆匹隆浜体制の構築は必要だが、そういった最低限のルールをしっかりと定めた上で、お互いを信頼し合い、助け合う「真の地域の絆」をもう一度取り戻してもらいたいと願う。

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