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幻の五新鉄道 猝欧譴詈瓩妨を

2017年04月21日

論説委員 黒田高弘

 「地方が大事という話は田中角栄先生のころからあった。だが今の地方再生は意味が違う。地方が再生されなければ国の危機だ」。今月8日、全国の廃線利活用事業者などで構成される「日本ロストライン協議会」主催の「ロストラインフェスティバルin神岡」で鉄道オタクとしても知られる石破茂衆院議員(前地方創生担当大臣)が基調講演でこう発言した。
 また、「廃線は負の遺産ではなく、プラスの遺産」とも。フェスティバルでは、平成8年に廃止となった神岡鉄道(岐阜県)のディーゼルカー「おくひだ1号」が約10年ぶりに復活。多くの鉄道ファンが集まり、静かな温泉町に「おかえり!」の声があふれ、活気に満ちた。マイナスと捉えられていた廃線が、プラスに転じた瞬間だった。
 野村総合研究所オタク市場予測チームによる「オタク市場の研究」(東京経済新報社)によると、鉄道ファンは約3―5万人、市場規模は約40億円と推定されている。電車に乗ることが好きという「乗り鉄」、電車を撮影することを趣味とする「撮り鉄」など、鉄道ファンを形容する言葉は数多く存在する。
 奈良県では平成22年、平城遷都1300年記念事業の一環として運行された臨時特急列車「まほろば」の撮影のため、ファンが線路内にカメラを置き一部列車を部分運休、最大16分の遅延が生じる事態が起こるなど、運行妨害事案は全国的で、その熱狂性を感じさせる。
 そういったことからも、迷惑行為はごめんこうむりたいが鉄道ファンを巻き込んだ観光振興、地域活性化は高い経済効果が得られる可能性を秘めている。日本ロストライン協議会も廃線跡地を活用した、地域おこしを主眼に置いている。
 今号で報じたNPO法人五新線再生推進会議も、未成線「五新線」を活用した地方創生を主眼に置いており、未成線と廃線の違いはあれど、路線を活用した地域振興という点では、考えが一致する。同会議の新名惇彦会長も同協議会との連携も模索しており、この「幻の五新鉄道」を広くPRしていきたい考えだ。
 団体旅行を中心とした「マス・ツーリズム」の時代から、今や個人旅行のニーズが大きくなり、体験型の観光など個人の嗜好(しこう)を反映する商品が求められるようになり、より地域に猝欧譴詈瓩重要視されつつある。
 そういった観点から言えば、「幻の五新鉄道」は、全国的にも珍しいバス専用道路として活用された路線であること、中古代ローマの水道橋を思わせるコンクリート製の高架橋が今なお残るなど、その物語性と遺構群は猝欧譴詈瓩箸靴峠銃麒の魅力がある。
 猝欧譴詈瓩妨を当てるとともに、そのブランド力を高め、経済効果を最大化するビジネスモデルを構築していく。新名会長も「地方創生はモノづくりであり、人づくり」と指摘する。すばらしい文化資産を持ちながらも、これら資産を活用した産業・地域振興、受け入れ態勢も含め市民力が高まらなければ、「宝の持ち腐れ」になりかねない。

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